天山山脈の南麓のオアシスを結ぶ交易路として、新疆ウイグル自治区ハミから西へカシュガルへと続きます。天山山脈、崑崙山脈、パミール高原に囲まれ、山の麓では古代から農耕社会が発展しています。
玄奘三蔵がインドへ向かう途中に歓待を受け長期滞在をした高昌故城のあるトルファン、新疆最大の仏教寺院キジル千仏洞のあるクチャ、民族の十字路とも呼ばれるカシュガルなどが代表的な町です。仏教遺跡が残り、多くの旅人がイメージする「中国シルクロードのオアシスを結ぶ道」と考えてよいでしょう。
車道だけではなく、南疆鉄道も走っていて各町の移動もスムーズです。
■トルファン
天山山脈南の盆地に位置し、天山南路と北路の分岐点として古くから交通の要衝として栄えた都市。かつては漢民族が支配した「高昌国」やトルコ系ウイグル人が支配した「西ウイグル王国」など、異文化が共存していました。今ではシルクロードの観光地として重要な町であり、『西遊記』にも登場する火焔山や、高昌古城や交河古城といった仏教国の城址も残っていますが、現在ウイグル族などのイスラム教を信仰する人々が多く暮らす地となっています。
世界でも有数の低地で(最低地は市内南部のアイディン湖で海抜マイナス154度)、火州とも呼ばれるくらい夏は暑いですが、天山山脈からの雪解け水を地下水として利用し、熱い大地を潤しています。葡萄など農産物も豊富です。
■クチャ
玄奘三蔵が「伽藍百余ヶ所、僧徒五千余」と残しているように、天山南路最大の仏教王国亀茲(きじ)国(前漢時代)が栄えていたクチャ。郊外には、新疆最大の石窟寺院キジル千仏洞や、玄奘三蔵の『大唐西域記』にも記された仏教寺院遺跡のスバシ故城など、見応えのある仏教遺跡が残ります。シルクロードを通って日本にもたらされたものの一つである音楽。キジル千仏洞内に描かれている壁画の中には伎楽飛天が奏でる五弦琵琶を描いたものがありますが、日本の正倉院に伝わる螺鈿紫檀五弦琵琶と同じ型とされ、古くからの日本との繋がりも感じずにはいられません。
現在、市内は住民の祈りの場として、クチャ大寺(イスラム寺院)などがありイスラム文化が色濃く、バザールも賑やかです。
大自然が織り成す迫力満点の天山神秘大渓谷も一見の価値があります。
■カシュガル
“不達喀什不達新疆(カシュガルに行かなければ新疆に来たとは言えない)”新疆の人が自慢げに言うほど、古よりシルクロードの重要な町として栄えてきました。疏勒(そろく)と呼ばれた漢時代から今に至るまで、活気溢れる交通の要衝であり、パミール高原を越えて西に向かえば中央アジア諸国、南に向かってカラコルム山脈を越えればパキスタンへと続きます。
周辺国家への玄関口でもあり、民族・文化の交差点として様々な民族の営みが感じられる町です。新疆最大のイスラム寺院エイティガールや、手工芸の技が光る職人街、活気溢れるバザール、日曜開催の家畜市など、見所も満載です。
カシュガル郊外に位置する神秘の湖カラクリ湖へは、日帰り観光が可能です。(車移動:往復約8時間)
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