サント村の小学校。校庭はどこまでも広がるひろ~い草原!
モンゴル・アルハンガイ県にあるサント村をご紹介したいと思います。サント村はウランバートルから西へ440km、弊社直営キャンプそらのいえに行く途中にある村です。都市部ではなく、地方の草原にある村はもちろん観光では訪れることはありませんが、学生スタディツアーではこういった村を訪れます。
なぜこの村を訪れるのか
なぜ、このような遠い場所を訪問地として選んでいるかというと、理由があります。出張で何度もモンゴルを訪れていますが、都市部の学校や孤児院には海外や政府からの多くの善意ある支援の手が集まり様々な交流がなされているということを、現地の方のお話や実際この目で見てきました。が、前々から「都市部ではなく地方の草原にある学校はどうなんだろう?」という考えが頭にありました。それを確かめるべく地方の学校を訪れる機会があり、校長先生のお話をうかがった際に「都市部には物や人が沢山集まりやすく、海外からのアクセスも良いので海外の親善団体などからの支援も受けやすいんでしょうね。ただ、地方には物も人もお金もなかなか回ってこないので、子どもたちの学習環境もなかなか良くならないんです。」というお話を伺いました。それならば、多少アクセスが悪くても支援や交流を必要としている地方で、ツアーという形で何かできないか。という考えのもと、このようなツアーを企画するに至りました。
ペン先あたりがサント村
村までは車で約10時間の長い道のり
地方の学校ならではの金銭的負担
現在、モンゴルの学校の義務教育制度は日本と同じ小学校6年、中学校3年と、さらに高校3年間も義務教育になっています。義務教育なので授業料は国が負担し、家庭で負担するのは教科書代(兄弟で兼用する場合が多いです)や、給食代です。給食は基本的に小学校のみで中・高生はお弁当かゴアンズ(村の食堂)で食事をしています。日本と違って、小・中が同じ校舎を1日の中で時間をずらして使用し学習しています。さらに、学校への通学は学校の近所の子供だったら徒歩やバスで通えますが、草原の遊牧民家庭や家の近所に学校がない子供は親元を離れ、通う学校に隣接する寄宿舎で生活するのが一般的です。その場合は寄宿舎代(食事代込み)が余計にかかります。現金収入の少ない遊牧民にとっては馬鹿にならない負担です。
校長先生は熱心にお話くださいました
サント村の学校を訪問
ウランバートルを朝出発し、車を一気に走らせてもサント村に到着するのは夜になります。校長先生の出迎えを受けたあと校長室に案内され、色んな話を伺っていきます。お話によると、「生徒数は小・中学生合わせて全部で約130人。寄宿舎で生活している子供はその内70人。70人中、建物の寄宿舎には40人、建物ではなく親が持ち込んだゲルには30人ほどが生活している」ということでした。半分以上の子どもたちが遠方からの通学をあきらめ、寄宿舎で生活していることになります。また、「生徒は子ども同士楽しそうにやっています。ただ、学習に必要な勉強道具や教材はなかなかこの地域には入ってこないですね。」ともおっしゃっていました。
翌日、校長先生直々に教室や体育館や調理室など学校施設をご案内いただきました。特に気になったのは、寄宿舎の床の老朽化や隙間、ところどころ刺さったままになっている錆びつきまがった釘が床板に刺さったままになっている事でした。
子どもたちが生活する寄宿舎
学校の体育館兼村の集会所
子どもたちとご対面!
午後は、学校に通う子どもたちとご対面です。はじめは見慣れない外国人にみんな緊張気味な様子でしたが、時間が経つにつれてお互いに緊張がほぐれていき、子どもたちも行く場所場所にくっついてくるのがとても嬉しいです。自己紹介をしたあと教室を出ると、先ほどの緊張が嘘のように、子どもたちは飛び掛かってきました(笑)
小学生たちと緊張のご対面!
俺とも一緒に写真撮ろー
男の子はやはりモンゴル相撲で力比べをしたがる!
女の子は部屋でおしゃべり
学校の修復作業
翌日は、旅のメインである「学校修復作業」を、子どもたちや学校の先生や手伝いに来た村人と一緒に作業していきます。男性は寄宿舎の床板の錆び付いた釘などを外していき厚めの床マット敷いていく作業を、女性は校庭にある、子どもたちから「殺風景でおもしろくない」と不評だった遊具のペインティングを担当することになりました。
部屋の大きさや置いてある家具に合わせ
カッターで床マットを切っていきます
服をペンキまみれにしながら
子どもたちと楽しくペインティング
サント村は、通常の観光では絶対に訪れることのない素朴で小さな村ですが、数日間の滞在で観光では得られない、多くのものを学ぶことができます。物を大切にする心、先生や年長者を敬うこと、遊ぶときは大人も子どもも関係なくおもいっきり遊ぶ心やそれができる環境、何かをなしとげるためにみんなで協力して作業する心、あるもので何とかする逞しさなど、日本の環境で暮らす私たちにとっては、なかなか感じ取る機会が少ない事柄がたくさん体験として心に入ってきます。
別れ際に校長先生は、こんな事をおっしゃっていました。「こんな小さな村に、わざわざ日本から手伝いに来てくれてほんとうに感謝しております。学校の一部を素晴らしい環境にしてくれたことはもちろんですが、このように皆さんが来てくれたことによって、子どもたちにとって異文化に触れられたということは彼らの成長にとってとても大きな経験となるでしょう。このような交流が長く続いていくことを心から願っています。」と。
このときから、既に3年が経ちました。再びサント村を訪れるべく、再度下記のツアーを設定しました。モンゴルとボランティア活動に興味がある方はぜひご覧下さい。