2012年12月29日〜2013年1月2日 文●関口雄太郎(東京本社)
雪が降る年末の金華山
2012年の年末、私は宮城県金華山に復興支援ボランティアツアーの添乗で訪れました。去年の8月に新企画として催行した第1回目からの夏の暑い時期とは違い、第4回目となる今回のツアーは、寒さ厳しい冬の金華山での復興支援となりました。夏の金華山の様子は以前の報告記でご紹介させていただきましたので、今回は冬ならでは、また年末年始ならではのご報告をしようと思います。
2012年夏の金華山の様子はコチラ
神職の方々と一緒に年越しの直会
神社の年越しは30日?
神社にとって年末年始は1年の内で一番と言ってもよいほど忙しい時期です。金華山にある黄金山神社もその例外ではありません。大晦日にあたる12月31日は宮司さんをはじめ、黄金山神社で働くすべての方々が寝る間も無いほど忙しくなります。その為、神社で働く方々の年越しの宴会「直会」は12月30日に行われるのです。私たちも「直会」に参加し、美味しい料理に舌鼓を打ちながら、楽しい時間を過ごさせていただきました。皆さんは、神社の方々とお話しする機会を本当に喜んでおられ、夜遅くまで神社の方とのお話に夢中になっている姿がとても印象的でした。
年末年始の作業は何があるの?
今回は年末年始に金華山に訪れるという事もあり、夏とは違った作業がとても多くありました。1月1日午前零時に斎行される神社の重要な祭儀「歳旦祭」を迎えるための準備のお手伝いや、元日以降には多くの参拝客の方が初詣をしに金華山・黄金山神社を訪れます。なので、大登を掲げる作業や参拝客待合所の清掃・準備など参拝客の方々を迎え入れる準備の作業がメインとなりました。参加者の皆さまも、まるで黄金山神社のスタッフになったように自ら行動し、仕事を見つけ、作業に取り組んでいました。準備の段階から作業をさせていただけると、一日でも早く復興して元の活気を取り戻して欲しいという気持ちがより一層高まったような気がします。
大登も掲げました
女性の方は巫女装束を着る機会も
落ち葉掃き、身体もポカポカ
鹿の餌も補充
金華山の山頂から初日の出を拝む
先日、金華山・黄金山神社発行の「金華山日誌」を見ていたら、とても印象的な言葉が綴られていました。
「太古の頃から、人類は日の出に感謝し、何事かを願い、恩恵を浴びていることを思い、自然を感じ、生きてきたことと思います。」
私自身、自分の眼で金華山の山頂から初日の出を見て、一日も早い金華山の復興を願うのと同時に、今ここ(金華山)に同じ目的を持った参加者の皆さまと一緒にいれる事を深く感謝しました。
まだ暗いうちから出発。安全祈願も忘れずに
素晴らしい初日の出
金華山での冬の服装 ワンポイント
山頂付近にはまだ雪が残ります
今回、冬の金華山に初めて訪れ、夏とは違った金華山を体感する事が出来ました。ご存知の通り、金華山は周りを海に囲まれた島です。夏は心地良かった潮風も、冬は容赦なく私達の身体を冷やします。冬の金華山を訪れるのにしっかりとした防寒対策は欠かせません。ですが、しっかり着込めば良いという訳でもありません。支援活動に一生懸命取り組んでいたり、金華山の山頂まで登ったりすると、身体がポカポカになってきて、熱ささえ感じる程になります。そのままにしておくと汗をかいて、より身体を冷やしてしまう結果となってしまうのです。ですので、着込めば良いというわけではなく、体温調節のし易い防寒対策を心がける事が大切なのです。是非参考にして下さい。
年始恒例の行事「屠蘇・箸戴きの儀」
「トソ・ハシイタダキノギ」と呼ばれるこの行事は毎年1月2日に行われる黄金山神社の恒例行事です。お屠蘇をいただき、その後、沢山並べらた箸の中から1つを選びその箸袋に書かれていた四字熟語でその年の運勢を占うといったものです。
今回のツアーでは参加者の方々もこの行事に参列させていただく事が出来ました。私を含め、皆さんとても貴重な体験が出来ました。
ちなみに私が引いた四字熟語は「一念通天」しっかりとした決意を持って一心に物事に取り組むと、その努力は必ず天に聞き届けられ、物事を成し遂げる事が出来るということの様です。この四字熟語を見て、金華山が一日も早く復興出来るよう、復興支援活動に取り組み続けようと改めて心に決めました。
沢山置いてある箸の中から自分と家族の分を選びます
とても貴重な体験になりました
「伝えて欲しい」という想い
最近、被災地を訪れボランティア活動をする人に対して“ボランティアに行く事は自己満足や被災地の様子を見てみたいという好奇心だけなのではないか”という方がいらっしゃるようです。そんな中、今回のツアーで私が特に印象に残った言葉があります。「自己満足や好奇心だけでもいいから実際に被災地に足を運んで、その状況を周りの人たちに伝えて欲しい」というボランティアセンターを支援する会のスタッフの方の言葉でした。
この添乗報告記をお読みいただいた皆さま、好奇心でも自己満足でもかまいません。一度でいいから被災地の「今」を訪れてみてください。そして皆さまの周りの方々に伝えてください。その積み重ねが「一日でも早く復興して欲しい」という気持ちの繋がりを生み、被災地の復興へと繋がっていくのだと改めて感じる事が出来ました。
第4回目参加者の皆さん。繋がりを大切にしましょう
黄金山神社の権禰宜・日野さん、大変お世話になりました