2013年5月1日〜2013年5月5日 文●竹嶋友(東京本社)
授与所でお手伝いする参加者
2013年のGWに、金華山の復興支援ツアーに同行してきました!
昨年夏から始め、今回で8回目となる復興支援ツアー。今回はその集大成といえるもの。参加者合計15名様と共に、12年に1度の祭を迎えた黄金山神社の裏方スタッフとして、授与所(巫女衣装着用)や、受付(巫女衣装着用)、売店、厨房、待合所、茶番など、各自の持ち場でしーっかりとお手伝いをしてきました。実際の様子はどうだったのか。写真を使って報告していきたいと思います。
巳年御縁年大祭って?
夏場や春先は土のうやスコップなどを使っての参道や境内の修復がメインでしたが、今回ゴールデンウィークでは12年に1度の「巳年御縁年大祭・本祭」があるということで、先日の年末年始ツアーのときのような、神社の裏方スタッフとして社務所作業のお手伝いがメインとなりました。
まず、「巳年御縁年大祭・本祭って何?」と思われる方もいらっしゃると思いますので、簡単に説明いたします。
蛇に縁のある金華山黄金山神社にとって、巳年の2013年は御縁年の年。その中でも5/3(金)の巳年御縁年大祭・本祭は、巳の年、巳の月、巳の日、そして巳の刻と巳が四つ重なる御縁中の御縁のお祭りで、多くの方が神社に訪れることとなります。2011年3月の震災以降、神職の方々や多くのボランティアの方々は、この2013年5月3日の御縁年大祭・本祭を大きな目標に、復興を進められてきたといっても過言ではありません。この日を迎えるにあたり、震災以降神社の神職の方たちの人数も減っている今、神社の裏方としてお手伝いできる人手が求められたのでした。
※夏場や年末年始のツアーの様子はこちらをご覧下さい。
2012年夏の金華山の様子はコチラ
2012-2013年の年末年始の金華山の様子はコチラ
いつも通り石巻→金華山へ入山
いつもは石巻→金華山行きの船着場がある鮎川港までは路線バスで移動しますが、今回は人数が多いということもあり、マイクロバスをチャーターし移動しました。移動の途中、コーディネーターのボランティアセンターを支援する会(以下、VCを支援する会と略)の押切さんが、被災時の石巻市の様子や復興に向けての歩みを車内で解説してくれました。この解説を路線バスで実施するのはなかなか難しいので、マイクロバスを使うことによって金華山に入る前に石巻市の被災地をより知ることができ、皆さんにとって有益だったと思います。
船で金華山入山後、まずは拝殿に参拝し作業の安全を祈り、黄金山神社権禰宜の日野さんより、金華山の歴史や御由緒をレクチャー頂きました。そして、この日の夜、1部屋に集まり、押切さんによるスライド写真を用いた明日からの作業の事前レクチャーを行いました。レクチャーでは、「なぜ金華山での支援が必要なのか?」さらに、「泥だしや土のうを使った作業ではなく、なぜ祭の手伝いが必要なのか?」など詳しく解説がありました。なぜわたしたちのお手伝いが必要なのかを、皆さんにも理解頂けて、全員明日からの作業に向けさらに気持ちが前向きになりました。
※なぜ金華山の復興が必要かについては、以前の報告記に詳しく書きましたのでぜひご覧下さい。
2012年夏の金華山の様子はコチラ
マイクロバスの道中、まださら地のままの場所も目立つ
手水舎で参拝前のお清め
拝殿参拝後、権禰宜・日野さんのお話を聞く
初日の夜の押切さんによるレクチャー(※机は瓶ケース)
神社スタッフとしての責任を感じた瞬間
翌朝、本祭を明日に控えたこの日は、私たちは各持ち場(担当する役割)に付いて、本祭に向けての準備とお篭りされる一般の方々の対応を行います。この日の始まりは、まだ眠気も覚めぬ早朝、拝殿にて祈祷を受けることから始まりました。その後、各自準備のために一旦部屋へ向かいましたが、その途中の廊下に本祭を迎えるにあたっての祭員名簿(祭を行うにあたり神職の方々の名簿)が貼り出されているのを見つけました。そこには、神職の方々のお名前の後ろに、何と私たちボランティアの名前が各持ち場と共に、名を連ねているのでした! これには、一同驚きと嬉しさと責任が混じった気持ちになり、神社スタッフとして自分の持ち場をきちんと務め上げねばと、気持ちが引き締まりました。
早朝の清々しい空気の中祈祷を受ける
後ろの方に私たちの名前がありました!
さあ、巳年御縁年本祭本祭・本番!
2013年5月3日午前10時、予定通り巳の刻に、多くの一般参列の方々に見守られながら本祭が始まりました。震災以降1日で1,000人以上の参拝者は初めてだったそうです。
いよいよ本祭が始まります。会場の大広間に集まる参列者
巳の刻に本祭が始まりました
沢山の参列者が拝殿へと上がっていきます
早朝に竹箒で綺麗にした階段を沢山の方が上がっていく喜び
拝殿前にての祈祷儀礼
本祭。TVカメラも3~4局入っていました。
玉串奉奠名簿(たまぐしほうてんめいぼ)を読み上げる権禰宜・日野さん
本祭終了。篳篥(ひちりき)・笙(しょう)・龍笛(りゅうてき)を先頭に、拝殿を出る
各持ち場の紹介
ここで、私たちが担当した持ち場をご紹介しましょう。
持ち場 | 担当人数 | 具体的な仕事内容 |
受付 | 女性2名 | 巫女衣装着用。文字通り神社祈祷受付所の補助やすぐ隣にあるお札や神符等の授与所接客対応 |
第一授与所 | 女性2名 | 巫女衣装着用。手水舎のある境内広間前授与所にてお札や神符等の授与所接客対応 |
拝殿授与所 |
女性2名 | 巫女衣装着用。拝殿前授与所にてお札や神符等の授与所接客対応 |
茶番 |
男性2名 | 参衆殿(宿泊施設)の部屋へのストーブや寝具やお茶運搬、その他お部屋の片付け・整理全般 |
厨房 | 女性3名 | 参衆殿での参籠者用食事の調理補助や折弁作り、直会食器片付け等の厨房業務全般の補助 |
売店 | 押切さん | 祈祷待合所隣りにある、飲み物(ジュース、お酒など)販売、お土産類(キーホルダー)の販売 |
桟橋前待合所 | 男性2名 | 船で金華山へ入港した参拝客の方々を、バスで神社境内へ送迎するための交通整理など |
第一待合所 | 男性2名 | 参拝が終わった方々を、バスで桟橋(船着場)へ送迎するための交通整理など |
第一・桟橋前待合所の無線中継係及び写真撮影 | 竹嶋 | 無線が届かない第一待合所・桟橋前待合所の無線中継及び神社資料用の写真撮影全般 |
見てお分かりいただけるように、任された持ち場は多岐にわたり、且つ私たちでできるのであろうか、、というような重要な役割でした。ただ、各持ち場にはもちろん教えて下さる神社の方々がいらっしゃいますので、事前に教えて頂きながらの仕事となります。参加者皆さんが各持ち場で頑張っている様子をいくつか、写真でご紹介します。
第一授与所にて。両脇が参加者の2人。
祈祷殿受付所の授与所で対応。両脇が参加者の2人。
茶番は朝から番まで忙しく走り回っていました
拝殿授与所はほとんど参加者2人でまわしていました!
売店担当のVCを支援する会の押切さん
厨房も調理や片付けなど独自スケジュールで大忙し!
第一待合所で参拝者を誘導する参加者男性(一番左)
船が入港する桟橋付近。桟橋前待合所担当の出番です。
どの持ち場も、朝から晩までとても忙しく、顔を合わせるのは昼食と夕食、そしてお風呂後から就寝前の時間だけでした。就寝前は各自で持ってきたおつまみを肴にこれまた持ち込んだお酒を飲みながら、その日の仕事の感想を発表し各持ち場でどんなことが起きているか、全員で共通認識を持つようにしました。そんな中、その日に起こったハプニングなどユーモア交じりに話す方が多く、疲れた体にも心地よい笑いが起きるのでした。
持ち場の以外の作業もやりました
さて、それぞれの持ち場の写真は見て頂いたところで、持ち場には関係なく取り組んだ作業も見ていただきたいと思います。本祭を迎えるにあたり、一般参列の方々に心地良く安全に滞在いただける様、各自の持ち場以外にも朝から晩まで、皆さん一所懸命取り組んでいらっしゃいました。
本祭前日に道路の危険箇所に竹で作ったガードレールを設置
毎日朝食前の境内清掃から1日が始まります
5月5日に使う御神輿を拝殿前まで階段を上って運びます。重い!
厨房に入り、大量に炊くお米研ぎの手伝い
折り弁作りを全員で一気に。もちろんつまみ食いは…してません(笑)
折り弁作業中にエプロン姿の巫女さんと雑談も
5月5日は御神輿! そして下山…。
私たちの滞在最終日にも大きな行事がありました。それは、巳年御縁念・神輿渡御です。担ぎ手は牡鹿半島各浜の威勢の良い漁師さんたち総勢150名が中心に担います。皆さんの中では、各持ち場が忙しく外で行われている御神輿の様子を見たいけど見られなかった方もいらっしゃったと思います。御神輿は男たちの「ジョーサイ、ジョーサイ(浄斎)」という掛け声で拝殿から麓の桟橋まで担ぎ降ろされました。
勇ましい担ぎ手の漁師さんたち
桟橋付近では特殊神事が行われたようです
私たちは帰りの船があるので、御神輿が桟橋から拝殿に戻るのを見ずして、下山する必要がありましたので、急いで荷物をまとめ、後ろ髪を引かれつつ金華山を後にしました。
お世話になった参衆殿を背にパチリ
下山前、偶然通りがかった権禰宜・日野さんと半ば強引にパチリ。今回も本当にお世話になりましたー。
船に乗る前に今回初めて(?)の全員集合写真!
またこの場所に来るような気がしたのは私だけでしょうか…
2012年から始め、8回目を迎えた金華山復興支援ツアーですが、繰り返しになりますが今回はまさに集大成ともいえる活動となりました。
何よりも、震災以降からこの日を迎えるために神職の方々はもちろん、沢山の心あるボランティアの方々がこの場所を訪れ、関り、作業し、そしてまた訪れていることは言うまでもありません。本当に頭が下がります。本祭が始まる前に、震災以降神社の燈篭をはじめ境内や敷地内のいたるところを、長い時間をかけて修復作業されてきた石巻出身のご年配の方とお話しする機会を得ました。「私は小さい頃からしょっちゅうこの神社で遊び、育てられたものです。震災以降、神社さんはじめ色々なご苦労がありましたが、皆さまの支えで、何とかこのような大勢の方がいらっしゃる素晴らしい日を迎えることができました。本当に感無量です。本当にありがとうございます。」と、涙ながらにおっしゃっていました。そういう今までのご苦労の積み重ねがこの日に繋がっているということも、滞在中幾度となく感じとる機会がありました。私たちもこのような晴れの日に、神職の方々やこのようなボランティアの方々と同じ時間を共有させて頂いたことは大変貴重な経験であり、と同時に毎日朝から晩まで同じ思いのもと、今回のツアーに参加いただいたお客様とそれを分かち合えたのはとても嬉しいものとなりました。
巳年御縁年大祭・本祭という大きな山は越えましたが、金華山にはまだまだ手付かずの修復箇所やボランティアの手が必要とされていることはたくさんある、ということには変わりありません。私たちはまだまだ金華山復興支援を続けていきたい、いや、続けねばならないと思った旅となりました。(竹嶋)