添乗ツアー名 ●四姑娘山ホーストレッキング5日間
2019年8月9日(金)~2019年8月13日(火)
文・写真 ● 川上哲朗(東京本社)
お盆の連休を利用した「四姑娘山ホーストレッキング5日間」に同行してきました。
本年6月からスタートした新企画であり、添乗員同行で催行されるのは今回が初めてでしたので、本報告記では四姑娘山麓の集落・日隆(リロン)の様子と、ホーストレッキングの実際についてレポートします。
成都から日隆までの移動
臥龍のパンダ渋滞 最近の中国は良い車ばかりです
今回はご参加者が多かったため、成都から日隆までは貸切バス1台での移動。途中、パンダ基地がある臥龍で渋滞に引っかかったものの、昼食やトイレ休憩を入れて正味6時間半ほどで到着できました。ほぼ全ての区間が舗装路ですが、クネクネの山道を通過しますので、酔いやすい方は薬を服用された方が良いでしょう。
ちなみに数年後には日隆への登山電車が開通するという事ですので、その暁にはアクセスが格段に良くなるはずです。
※逆説的に、「行くなら早めがお勧め!」という事です。お察しください。
リノベーションされた日隆のロッジ
日隆のメインストリート 「スイスっぽい」という意見も
2019年のリノベーションにより各客室に床暖房が設置され、24時間ホットシャワーが利用可能になりました。もはや「ほぼホテル」といっても過言ではない設備です。とはいえ家庭的な素朴さも残されており、なんだか落ち着く雰囲気が魅力です。
ここのロッジのお勧めポイントの一つは「料理」。笑い上戸のお母さんが作る手料理が絶品なのです。
毎回リクエストしている山菜&キノコ料理が素晴らしかったのはもちろんの事、「放牧中に冬虫夏草を食べているから旨いんだ」と噂されるヤクの茹で肉に、甘めのトウガラシや八角、塩などがブレンドされた“四川風七味唐辛子”とでも言える特製スパイスを付けて頬張ると、普通の牛肉よりはるかに強い複雑な旨味が感じられました。
ホーストレッキングの準備と概要
日隆のロッジで1泊2日のテント生活に必要な荷物の仕分けを行います。自分で背負う荷物は最小限で済みますので、体力に自身のない方や乗馬が初めての方でも安心してご参加いただけます。
荷物の仕分け
- ロッジに置いていく荷物(スーツケースなど)
- キャンプ地まで運んでもらう荷物(着替え、洗面用具など)
- ホーストレッキング中に使う荷物(お弁当、レインウェア、貴重品など)
日隆のロッジから10分ほど歩き、ビジターセンターからシャトルバスで長坪溝へ。ここで馬&馬子さんと合流し、ホーストレッキングがスタートします。出だしの急傾斜の部分は馬を下りて歩きますが、木道が整備されているため、一般的なスニーカーで全く問題ありません。(下り15分、登り25分程度)
馬を下りて歩く様子
乗馬中は馬子さんが一頭ずつ手綱をとって引いてくれます。許可してくれた場合はご自身で操作しても構いませんが、馬それぞれの性格や乗り手との相性も様々ですので、現地スタッフの指示には必ず従ってください。
実際、今回もキャンプ地まで迎えに来る途中で馬子さん1名が落馬してしまったそうです。優しい馬でも油断は禁物です。
キャンプサイトの様子と装備、サービス
トレイル上の休憩所でお弁当を食べ、午後にはキャンプ地である木騾子(もくらし / ムールーツ)へ到着。今回は到着が早かったため、高度順応を兼ねて川の上流方面へハイキングに出かけました。
見頃は過ぎている時期ではあるものの、ウスユキソウ、リンドウ、トリカブト、シオガマ、ナデシコ、アキノキリンソウ、シュウメイギク、イブキトラノオなどの花がチラホラと見られました。また、カラマツの樹林帯にはノイチゴが赤い実を付けており、散策しながら甘酸っぱい実を頬張るのは楽しいものでした。
キャンプサイトに戻ると、スタッフたちがテントを設営してくれていました。ツアーでは宿泊用テントの他にダイニングテントも用意しますので、万が一雨が降ったとしても、ずっと自分のテントに引きこもっている必要はありません。なお、トイレと水場は近くの管理棟で利用可能です。
もちろん夕食・朝食には温かい料理を食べられますし、テントや寝袋の設営/収納もスタッフが行ってくれます。昨今流行りのグランピングもかくや、という大名登山ですから、美しい山や花、星などの眺めを満喫し、あとは食っちゃ寝、食っちゃ寝のリゾート生活をご満喫いただけます。
今回は意図的にショートツアーとして企画しましたが、「やっぱり山中1泊だけではもったいないかなぁ」とも感じた1泊2日のテント泊ホーストレッキングでした。オーダメイドの受注型企画旅行であれば、日数を伸ばしたりといったアレンジが自在ですので、お時間のある方は、ぜひ、のんびりと四姑娘山をご満喫ください。
おまけ 地獄のドアをノックした
ツアー中、体調に留意して極力辛いものの提供は控えるようにしています。しかし、ここは四川省。せっかく来たなら本場の「マーラー(麻辣)」も体験せにゃいかん、という事で、成都へ戻った夜に「火鍋」のお店を訪問しました。
蒸し暑い成都において、火鍋は夏場に精をつける料理として捉えられているようで、お店は上半身裸のオジちゃん達(Tシャツを胸までたくり上げるスタイルを「北京ビキニ」と呼ぶんだそうです!)で賑わっています。着席後、暫くして私達のテーブルにサーブされた鍋がこちら。まるで地獄の釜のような見た目をしています。
地獄の釜のような「火鍋」
実際食してみると・・・・・・イメージ通り、まるで閻魔大王に舌を引っこ抜かれたような痛みを感じます! 唐辛子の辛さに加えて花椒のシビレが効いており、湯気を浴びただけでも汗と涙が止まりません。しかし、慣れたせいなのかマヒしたせいなのか、食べ進めるにつれてだんだん美味しく感じてくるから不思議です。
ついつい調子に乗り、翌朝にトイレで地獄のドアをノックするまでが決まりごと。くれぐれもツアーの序盤でトライしないようにお気をつけください。
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チベット人ガイド同行 ギャロン地方を馬で行く
終了ツアー 四姑娘山 ホーストレッキング5日間