川上のネパール・レポート(エベレスト街道編 1)

4.25の本震だけでなく、5.12の余震でも大きな被害を受けた「エベレスト街道」。秋から始まる本格的なトレッキングシーズンに向け、ネパール支店スタッフ・ディルと共に歩いて調査をした様子をご報告します。

▼6/16 「カトマンズ/ルクラ/ナムチェバザール」

エベレスト街道トレッキング地図はこちらをご覧ください

ルクラ空港へまもなくランディング! ルクラ空港へまもなくランディング!

この時期のネパール国内線はスケジュールが大変不安定であるが、運良く定刻通りにルクラ・テンジンヒラリー空港へ到着することができた。まだ私のラッキーボーイぶりは健在なようだ。幸先の良いスタートに気を良くし、早速トレッキングの準備に取り掛かる。今日はナムチェバザールまで長い道のりである。

さて、歩き出してすぐ気がついたのは、ルクラのメインストリート(スター○ックス周辺)が封鎖されており、カラフルなテントが建ち並んでいたことだった。しかし、これは震災の影響ではなく、水道管の修理をしているからだそうで、周辺のテントは労働者が宿泊するための施設らしい。ルクラの地震被害は案外少ないようで一安心した。

ルクラにて水道管の修理作業中 ルクラにて水道管の修理作業中

ピースが出来ないブラザーズ ピースが出来ないブラザーズ

通常、弊社のツアーでは、トレッキング初日にパクディンという村に投宿することが多い。パクディンはドゥドゥコシと呼ばれる川の両岸にロッジや売店が立ち並ぶ大きな集落である。残念ながらこの周辺は震災の影響があったようで、パクディンより若干ルクラ側に位置するガートという集落から、大きな吊り橋を右岸に渡った先のエリアにかけて、何軒かの倒壊物件を目にすることとなった。

今回の出張は、トレッキングツアーが安全に催行できるかどうかのチェックはもちろん、皆様からお預かりしている支援金を元に、被災者へ救援物資を直接届ける事も目的の一つであった。復旧作業を行っている方々に、70リットルのザックに詰め込んだ作業用手袋を配りながら歩いた。

ゴム引きの手袋はネパールでは入手が難しいそうだ ゴム引きの手袋はネパールでは入手が難しいそうだ

天井が落ちてきてしまったパクディンのロッジ 天井が落ちてきてしまったパクディンのロッジ

パクディン~トクトク間のトラバース道においては、地震によって発生した登山道の崩落も見られた(ただし、ここは例年土砂崩れが発生している箇所である)。しかし、余震後も多くの人々や荷役の動物たちが歩いており、狭いとはいえすでに足元に道はついている。浮石も安定しつつあるようで、幸い大きなリスクは感じずに通過することができた。なお、上部に民家はないため人為落石は考えられず、雨季が終わった頃には自然落石の可能性も少なくなる事だろう。まさに“雨降って地固まる”である。

写真は撮らずに早足で歩きましょう 写真は撮らずに早足で歩きましょう

依然、ロバやヤクなどが荷物を運んでいます 依然、ロバやヤクなどが荷物を運んでいます

ジョルサレの先で高度感抜群の吊り橋を渡り、ここからはしばらく急登となる。さすがに3,000mを超えてくると、いつもより重いザックが肩に食い込み、歩行スピードも上がらなくなってくる。それでも、夕方、ナムチェバザールに無事到着することができた。

ナムチェの入り口から見ると、大きなチョルテン(仏塔)にヒビが入っている以外、ロッジ等に大きな被害を見つけることは難しい。しかし、知り合いのシェルパに聞いてみたところ、「古い石積みの建物は多少なりともダメージを受けてしまい、危険なのでこれから取り壊す家もある」と教えてくれた。イエティ(雪男)が侵入できないよう玄関を低く設計している伝統的な家屋が、今後ますます減っていってしまうのは寂しいものである。ただ、震災で直接的に倒壊した家は数えるほどだそうで、現在でもテント生活を強いられている人は7-10名程度だそうだ。思ったより少ない被害に正直ホッとした。

震災からまもなく2ヶ月が経つ。すでにポーターがトタンやセメントなどの資材を続々と運搬してきており、大勢の大工達が振るう槌の音が街中に響いている。ジャガイモの収穫期前である8月までの復興を目指し、ナムチェの集落はいつもより活気づいてさえ見えた。

※調査のため日程を短縮しています。高度順応を考慮し、1日でナムチェまで歩く手配は通常いたしておりません。

やっとナムチェバザールに到着! やっとナムチェバザールに到着!

取り壊しが決まった伝統的な家屋 取り壊しが決まった伝統的な家屋

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4.25 ネパール大地震
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