アヤズ・カラへ行こう!

文●池内明穂(大阪支店)
ガイドブックを開いていると、時々見かける、“kala-カラ”という単語。カラは「宮殿」「城市」などという意味を持ち、ウズベキスタン観光でも欠かせないキーワードの一つです。今回は、私のお勧め「カラ」の一つ、アヤズ・カラ(Ayaz-kala)を紹介します。

古代遺跡アヤズ・カラ




アヤズ・カラってどこにあるの?

ウズベキスタン西部に位置し、同国内の自治共和国カラカルパクスタン共和国にある遺跡です。ヒヴァから車で、約3時間、距離にして140Kmほどの場所にあります。キジルクム砂漠の端に位置し、荒野に堂々と、聳えるように残っています。今残っているものは、6~7世紀頃のものと言われ二つの小山が連なったような都城跡です。


道路から歩いて20分位で高台の遺跡に到着。遺跡からの眺めは、遠くにアヤズクル湖が見え、天候が良ければ、遥か彼方に地平線も見渡せます。


どんな歴史や地形の場所?

この地はかつて、ホラズム王国という国がありました。「太陽」を意味するホラズム。年間300日は雲一つないともいわれ乾燥した地域ですが、その土地に恵みをもたらしてきたのが、現地を流れるアムダリアです。ダリアは川、アムは活発なという意味で、パミール高原に源を発し、アフガニスタン、タジキスタン、ウズベキスタンの国々の出入りを繰り返し、全長約2,500㎞にも及びます。この豊富な水を利用した灌漑農業の発展で、古代ホラズム王国はオアシス都市として、またシルクロードの中継地としても栄えてきました。ただ自然は、時に人に厳しく、「活発な川」というその言葉にも現れているように、氾濫が起こることもしばしばありました。当時は川の流れが変わる毎に、人々も町も川に沿って移動していたようです。

古代ホレズム王国は、何世紀にも渡り様々な王朝が興亡を繰り返してきたと言われていますが、1940年代から本格的な発掘が行われ、アムダリア下流域やキジルクム砂漠などから、なんと1000を超える遺跡が発見されています。現地ガイドからは1日で人々が歩き続けることができる20㎞毎に、要塞などが作られたと聞きましたが、発掘調査も続行中で、まだまだ謎多き場所です。

かつてシルクロードを往来したキャラバンや、旅人に思いを馳せて、その謎を紐解く気持ちで、現在残るカラを訪れてみるのはいかがでしょうか。

実際に登ってみよう

遺跡の側の車道からは、歩いて砂丘を登っていきます。健脚の方なら15分~20分くらいでしょうか。砂漠といってもサクサウルという低木が生えている土地なので、靴は汚れても苦にならない運動靴がお勧めです。歩くにつれて、段々と遺跡が迫ってくるような感覚になり、気がつくと小山を登っていました。


小山を登り、内部に足を踏み入れると、野球場ほどのだだっ広い空間が広がっていました。このカラが繁栄していた何百年も昔、この厳しい自然環境下で過ごした人々を思い、水路や、城壁を見ながらゆっくりと遺跡の中を歩きます。
人々がこの宮殿から立ち去った後も、静かに時が過ぎ行くのを見守っているような奥深さと、余韻が残るような場所でした。



アヤズって?-現地ガイドから聞いた、ある言い伝え-

「アヤズ」とは一体何のことでしょうか?日本のガイドブックなどでは遺跡名としてのみ掲載されているものが殆どだと思いますが、現地ガイドから、こんな話を聞きました。

「その昔、アヤズという男性の召使が、王女に惚れて、プロポーズを繰り返しました。だけど、案の定アヤズは身分違いで断られてしまいます。
その後、王女から「立派な要塞を作ったら結婚してあげましょう」と言われ、アヤズは懸命に作り続けます。
そうして要塞は完成しました。しかし、完成した時には王女は既に他の男性と結婚をしてしまっており、アヤズの恋は叶いませんでした。

その後、アヤズがどうなったのかは分りません。だけど、この地に暮らしていた人々は、この要塞を気に入り、壊さずに残しました。」とのこと。

この話がいつ頃のことで、事実かどうか、実際アヤズという男性がいて、一人が作ったかどうかも、今となっては謎のベールに包まれたままです。ただもし本当だとしたら、アヤズの想いが込められたこの場所に立ち、日干し煉瓦一つ一つを見るだけで、熱い気持ちがこみ上げてくるようです。現地の人々が、「残そう」と思った背景には、ただこの宮殿が気に入っただけではなく、アヤズへの敬服、同情の想いなども含まれていたのではないかと思います。

せっかくだから、泊まってみよう!

ヒヴァやウルゲンチから日帰りでも訪れることができますが、風のツアーではゆとりを持ったスケジュールで、朝晩の景色も楽しんでもらいたいと、アヤズ・カラの麓のユルタ(移動式住居)に宿泊します。遺跡のすぐ側で一泊できるなんて、貴重な体験ですよね。

ユルタ(遊牧民テント)に泊まります

滞在先のユルタには、5~6名程が泊まれます。(ツアーで人数が多い場合は、男女別の相ユルタです)宿泊ユルタの近くには食事をする大きなユルタもあります。また、トイレと洗面所専用の建物があり、この水は、近くの湖から汲んできて利用しています。水シャワーもあります。ただし夏の時期など宿泊客が多い場合は、利用できないこともありますので、ウエットテッシュなどを用意されると安心ですね。
尚、車でユルタの側の駐車場まで行きますので、荷物はスーツケースで問題ありません。

天気がよければ、夜は遥か遠くに町の灯りが見えます。開放感たっぷりのユルタキャンプでの一泊は、ウズベキスタンの自然を肌で感じることもでき、旅の思い出がより深く印象に残ることでしょう。

※ 2013年現在、ユルタは1年を通して宿泊可能となりました。(寒い時期はユルタ内部ではストーブを焚きます)ただ冬の時期は非常に冷え込み、現地事情により宿泊を受け入れることができない場合もございます。詳しくはスタッフまでお問合せ下さい。

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