19世紀のメドレセ(神学校)に泊まる-ヒヴァ-

ヒヴァのイチャン・カラの眺め


ウズベキスタンといえばまず思い浮かぶのがタイルで装飾された青いイスラム建築です。空の色と同化してしまいそうな柔らかい色合いは一度見たら忘れられません。青い建築といえばサマルカンドが最も知られていますが、今回ご紹介するヒヴァも美しいイスラム建築をたっぷりと見ることができる街として有名です。中心部であるイチャン・カラ(内城)は、ウズベキスタンの中でもいち早くユネスコ世界遺産に指定されました。

この街ではなんと19世紀のメドレセ(神学校)に実際に宿泊することができます。さて、ヒヴァとはどんな街なのでしょうか?そして宿泊できるメドレセとは?泊まることでより深く感じられる街の魅力をご紹介します。

日本から朝鮮半島、中国へと西へ延びているシルクロード。ローマまでをシルクロードとするならば、ウズベキスタンはちょうどその中間地点に当たります。

ヒヴァ イチャン・カラ内の地図

ヒヴァ イチャン・カラ内の地図

シルクロードは草原の道、砂漠の道など数多のルートに分かれていますが、どのルートも険しい峠や砂漠など幾つかの難所を抱えていました。ヒヴァがあるウズベキスタン西部もその一つです。ここには広大なキジルクム砂漠が広がっています。その荒野を通らなければならないわけですから、砂漠の交易は必然的に、砂漠に浮かぶオアシスを拠り所として発展しました。

オアシス都市には様々な王朝が興亡しました。あるときには異民族が、またあるときには内争がその運命を揺り動かしましたが、最も大きな決め手であったのはこの地方の水と緑の源であるアムダリア河の流れです。

砂地を流れる河は気まぐれでときにその河流は大きく変化します。ヒヴァは16世紀までは小都市に過ぎませんでした。しかしアムダリア河の流れが変わりヒヴァを潤すようになると、ヒヴァの繁栄が始まったのです。トゥルク系のハーン(王)が国を治め、ヒヴァは堅牢な二重の城壁で守られました。東西交易や奴隷売買が盛んに行われバザールやキャラバンサライは隊商で賑わいました。

18世紀になるとヒヴァの繁栄は最高潮に達しました。ロシアとの交易が始まり大量の富が流れ込むようになったのです。イスラム教を篤く信仰していたヒヴァの王族や富裕層は競うように城壁の中に壮麗なイスラム建築を建て、都はまるで宝箱のようにぎっしりと美しい建物で満たされました。

二重の城壁で大切に守られたイチャン・カラ

時が変わって現代になるとヒヴァでも街の近代化が進められましたが、二重の城壁のもっとも内側にあるイチャン・カラ(内城)では歴史的建造物の保存が優先されました。そのため、イチャン・カラでは、まるで時間の流れから置き去りにされたような昔のままの姿を、今でもそっくりそのまま見ることができます。

街中が博物館とたたえられるヒヴァのイチャン・カラ

街を歩くだけでも驚きのイチャン・カラですが、街というのは鑑賞するために作られたわけではありません。本当にイチャン・カラのことを知りたければ、滞在期間中だけでもその中で寝食をしその空間や時間を肌で感じてみることをおすすめします。イチャン・カラは狭く景観保護のため自由に新しい建物を建てることができません。そのため、ほとんどのホテルがイチャン・カラの外にありますが、風の旅行社ではこのイチャン・カラの中での宿泊をおすすめしています。


ヒヴァを代表するメドレセ(神学校)に泊まります

イチャン・カラの中で最も当時の雰囲気を満喫できる宿、それが風の旅行社イチオシのムハンマド・アミン・ハーン・メドレセです。メドレセとはイスラムの神学校のこと。19世紀にハーン(王)の命により建てられ、学生がイスラム教について学んだ施設です。メドレセは寄宿学校でしたので、現在ご宿泊頂く部屋も、当時神学生が使っていた宿坊を利用しています。部屋の中やロビーなどは使い勝手を重視して現代風にリノベーションされていますが、狭い回り階段や中庭、何よりメドレセの正面に堂々とそびえるカルタ・ミナル(塔)は当時の造りそのまま!ここに宿泊していなくても必ず訪れたいヒヴァの見どころのひとつなのです。

ヒヴァのイチャン・カラ内にあるスザニ店

ヒヴァのイチャン・カラ内にあるスザニ店

古い建物ならではの不便もあります。宿泊棟は2階建て(当時としては珍しい)ですがエレベーターはありません。階段も狭い回り階段なので大きなスーツケースは持って上がるのも一苦労です。(ポーターさんを頼めます)

また、メドレセだけに限らず、イチャン・カラの中では水が出なくなったりお湯がなかなか出なかったり停電したりといったトラブルもたびたび起こります。イチャン・カラの都市基盤自体が古いのでこれはメドレセに泊まるなら覚悟をしなければなりません。(暖房が絶対に必要な冬季はメドレセはお休みします)

こうした不便が気になる方や寒い時期に訪れる方には、イチャン・カラの外にあるスタンダードクラスのホテルもおすすめです。イチャン・カラの外にあるホテルも門のすぐ目の前にあったりと立地には気を遣い快適性も維持できるよう頑張っています。でも、ここでしかできない体験をしたり、イチャン・カラのかつての暮らしに思いを馳せてみたいなら少々の不便はあってもメドレセ泊をおすすめします。

風の中央アジアは「見る旅」よりも「触れ合う旅」がモットーです。観光客で賑わう昼のヒヴァだけでなく、朝や夜や夕暮れ時の素顔のヒヴァに触れてほしい。メドレセ宿泊にこだわったこの企画にはそんな私達の思いが詰まっています。
メドレセ宿泊にこだわったこの企画にはそんな私達の思いが詰まっています。

※宿泊先のご注意:
宿泊先は、メドレセ(神学校)として使われていた建物を改築したホテルの予定ですが、冬季の休業期間(例年11月中旬頃~3月中旬頃まで)や混み状況などにより、その他の「利用予定ホテル」での宿泊となります。予めご了解下さい。

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