1月7日にチベット自治区シガツェ市ティンリー県で発生した地震の続報です。
参考【2025年1月9日付】中国チベット自治区で発生した地震の被害について
その後も現地旅行社などから情報を得ていますが、現地では救助活動から復興復旧活動にフェーズが変わったようです。救助活動、物資輸送などを優先するためチョモランマ自然保護区への観光客の立ち入りを禁止していたようですが、その措置も近いうちに解除される見通しのようです。
ラサの会社を通じてティンリーのホテルに確認したところでは、インフラ関係も復旧されているそうで、ラツェ~ギャツォラ峠~ティンリ間の幹線道路318号線は問題なく通行出来ていて、電力や水にも問題はなく、ホテルは正常に営業しているそうです。
2025年1月25日に電話で確認をした町
ラツェ:ホテルや食堂など正常に経営をしている。水、電力、携帯の電波などは正常。
ティンリー:ホテルやレストランは正常に営業をしている。水、電力、携帯の電波などは正常。ただし観光客は立ち入り禁止。
タシゾン、バソン(チョモランマのベースキャンプ方面の村):倒れた建物はない。立ち入り禁止なのでお客さんがいないけど正常に営業できる状態。水、電力、電波は正常。
※チョモランマ自然保護区は、救助車両の往来をスムーズにするため、二次被害を出さないために現在観光客の立ち入りを禁止しています。しかし、現地では2025年の4月から自然保護区への立ち入りが再開されると噂されています。
弊社のツアーで訪れる町や村はほとんどが幹線道路沿いなので、地震による被害はほとんどありません。
今回、被害の大きな地域はティンリー(定日)県からディンギエ(定結)県に向かう、幹線道路から距離のある小さな農村、山村である措果郷、曲洛郷といった地域だそうです。村の土や石でできた建物は耐震構造もなく大きな揺れでいとも簡単に崩れてしまいます。そういった村では家が崩れて下敷きになって亡くなった方や、住むところを失くした方が大勢いて、仮設テントなどに避難しています。
ただし、上記にお知らせしたように、大きな被害を受けた村では今後も復旧復興が必要になり、夏以降のツアーでもその様子は目にする可能性はあります。
ちなみに、誤解が多いので補足しますが、行政区画としての「シガツェ市」と、都市としての「シガツェ」の街は全く別の概念で、「シガツェ市」はチベットの古い地名の「ツァン地方」にほぼ相当し、中央チベットの西部、東はヤムドク湖の向こう側に聳えるノジンカンツァン峰から西はカイラス山を擁するンガリ地方まであとわずかのトンバ県までを包括する広大な地域。面積は約18万平方㎞(北海道の約2倍、ネパールよりも広い!)。
今回の地震が発生したティンリ県はチョモランマを始めとするヒマラヤの麓にあたる地域で、ラサからネパールのカトマンズを結ぶ幹線道路が東西に走り、チョモランマBC方面を訪れる際の前線基地になる場所です。都市としての「シガツェ」は行政区画としては「サムドゥプツェ(桑珠孜区)区」に相当します。
今回の地震は行政区画としての「シガツェ市」で発生しましたが、都市としてのシガツェ(サムドゥプツェ区)にはほぼ影響がありません。
チベット自治区緊急司令部はチベット自治区の地震に対する「一級緊急対応」を終了することを決定
2025年1月7日午前9時5分、シガツェ市ティンリー県でマグニチュード6.8の地震が発生しました。自治区緊急指揮部(緊急対策本部)は、地震と被害状況に基づき、チベット自治区「一級地震緊急対応」を起動し、全面的な地震対策活動を組織した。
地震の発生以来、関係者の協力により、被災地の秩序は徐々に回復しつつあります。
自治区緊急指揮部は「チベット自治区地震緊急対応計画」の対応終了に関する関連規定に基づき、2025年1月18日24時からチベット自治区「一級地震緊急対応」を終了することを決定し、再定住、救援、復旧・復興へと移行します。
チベット自治区緊急司令部 2025年1月18日
(原文)
西藏自治区应急指挥部关于终止西藏自治区地震一级应急响应的决定
(外部リンク:西蔵自治区人民政府)
2025年1月7日9时5分,日喀则市定日县发生6.8级地震,自治区应急指挥部 根据震情灾情 启动西藏自治区地震一级应急响应,全力组织开展抗震救灾工作。地震发生以来,经各方共同努力,灾区各项秩序逐步恢复正常。按照《西藏自治区地震应急预案》关于终止响应的相关规定,自治区应急指挥部决定从2025年1月18日24时起,终止西藏自治区地震一级应急响应,转入安置救助及恢复重建。
西藏自治区应急指挥部2025年1月18日