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支笏洞爺国立公園に属し、蝦夷富士とも称される羊蹄山(1898m)。その山麓に、モンゴル、カザフ、トゥバの遊牧民が使っていた貴重な民具を通して、彼らの知恵や経験を、そしてそれらの由来や目に見えない物語を伝える「北方アジア遊牧民博物館」があります。
館長は、長年に亘り風カルチャークラブのモンゴルツアーで講師を務める西村幹也さん。西村さんは言います。
―――― 展示品を作った人、使っていた人、くれた人たちを紹介することで、遊牧民という人々と彼らにまつわる様々な文化を伝えたい。形があるものだけが、価値があるわけではなく、形を失っても、伝えられるべき大切なモノを集め続ける博物館でありたいのです ――――
モンゴルの森での出来事です。2週間の狩りに出かけた18歳の青年が鹿一頭獲ってきました。「もっといなかったのか?」と尋ねると、「いや、あちこちに足跡あったから、そのへんにまだいるよ」と彼は言うので、「なんだよ、ついでに獲ってきたらよかったのに。」と私は言いました。すると、彼は、「だめだよ、兄さん、そんなことをしたら欲深になってしまうよ」と笑って言うのです。穴があったら入りたい気分になりました。
“必要なときに必要なモノを必要なだけ獲ってくればいい”これが彼らの基本的な考え方です。皆が等しくそのように考えたならば、いつまでも山も川も豊かなままで、その恵みを我々に分け与えてくれます。人が自然に守られていること、その恵みの元に生かされていることを感じながら生活しているのが遊牧民なのです。
我々は自然を守ろうと言います。護らねばならないのは当然なのに、わざわざ言わねば教えられないようになっています。それは自然の恵みを身近に感じなくなってしまったからではないでしょうか? 自然を自分たちから遠く切り離してしまったから、身近にある自然を感じることが出来なくなっているのではないでしょうか?
博物館では遊牧民の物語をお伝えします。彼らの生き方、自然との関わり方を知ってください。自然に愛される彼らのことを知ってください。そして、今度は、我々自身が、目の前にある自然の恵みをただしく受け取れるようになろうではありませんか。
道ばたの草花が食べられると知ったとき、いままで毎日見てきた風景が変わります。ただの自然が、自分にとって意味のある自然となります。遊牧民の知恵に学び、日本で、日常で実践する、そんな体験をしていただければと願っています。