奇跡の海、富山湾。
わずか20~30kmの短い距離を2,500~3000mの落差を流れ切り、海へと注ぐ急流。目には見えぬ伏流が、平野部湾岸部のみならず、海中においても湧き出ているといいます。
その海は、水深1000mまで沈む込み、多様な命を育む環境を生み出しています。こうした自然環境が、魚津において「三大奇観」と称される奇跡を見せてくれているのです。
富山湾沿岸の集落は、それぞれに生活や産業が魚介類と結びついた文化を有していたと思われます。その中でも、“魚”の文字を冠する魚津市は特に、沿岸部で採れる多様な魚が独自の文化を彩ってきました。
しかし…
しかし、文化とはとても脆い側面を有しています。特に、生活の中に当たり前のようにある文化は、社会や経済、生活環境の変化の影響を受け、驚くほどのスピードで、変化したり消滅したりします。
魚津の魚文化も、大きな変化のうねりの中にあると聞きます。獲れる魚、獲れなくなった魚、獲らなくなった魚…、水産資源自体の変化、食生活の変化…、文化は、時代とともに変化していくものかもしれません。
しかし、そうした文化も、その土地の独自資源であるはずです。だから、そうした文化の存在を後世に伝えよう、残っている文化を活かしていこう、歴史を踏まえながら新たな価値を生み出すことを、知ろうとする取り組みが続けられています。
このプログラムの学びと体験をとおして、日本人の生活に欠かせない魚をとりまく自然・文化・歴史、そして現状と様々な人々の取り組みを知ってもらうとともに、魚津や富山に関心を寄せてもらうようになってもらいたいと考えています。
※ホタルイカや魚に関する疑問、質問をご用意ください!
―魚津水族館の稲村館長さんより―
魚津水族館 館長
稲村 修 (いなむら おさむ)
1957年、富山県入善町出身。富山市在住。魚津水族館館長。博士(環境科学)。
1980年より、魚津水族館に勤務し、2011年からは館長を務める。
専門分野は魚類学・生態学・環境科学と幅広く、ホタルイカ研究の第一人者でもある。また最近は、富山湾に頻繁に出現するようになったリュウグウノツカイについての情報収集、調査にも注力し、その生態解明にも取り組んでいる。さらには、富山の魚と食文化に関する調査にも取り組んでいる。
社会的活動も幅広く、中部地方放送番組審議会委員(NHK名古屋放送局)委員長、
日本海学推進機構専門委員、立山黒部ジオパーク理事、
飛騨地域エコロード検討委員会委員(国土交通省高山国道事務所)なども務める。
所属学会等:日本魚類学会、日本生態学会、日本地球化学会、富山県生態研究会、富山県生物学会
主な著書:「食育早わかり図鑑2」(監修)、「富山のさかな」(監修)、「魚津のさかな」(監修)、「ホタルイカ-不思議の海の妖精たち-」(監修)、「ほたるいかのはなし」、「富山の川と湖の魚たち」(共著)、「氷見のさかな」(共著)
趣味:釣り、料理
講師
浜岡 愛子 (はまおか あいこ)
富山県魚津市出身。(株)ハマオカ海の幸 専務取締役
浜岡清商店(昭和25年創業)の初孫として生まれる。大学時代、国際寮で異国の文化に触れる環境で過ごし、20歳の頃には米国イースタンワシントン大学に短期留学した。卒業後、地元の会計事務所を経て、親が経営する(株)ハマオカ海の幸に就職。子供3人を授かり、仕事と家庭を両立。地域の勉強会で学んだCSV(Creating Shared of Value)という考え方に共感を覚え、地域や現場での実践に取り組んでいる。
自社の商品「熟成寒の汐ぶりスライス」で富山大学ビジネスプランコンテスト最優秀賞受賞。
「日本に古くから受け継がれている魚食文化。干物を通しておいしい幸せをお届けしたい、という気持ちで日々頑張っています。美味しい食の背景には素晴らしい地域に受け継がれた自然や文化があること。すべてが繋がって美味しい干物をお届け出来ます。」