オリッサの旅へのいざない
インドの東海岸に位置するオリッサ地方(現オディシャ)は、かつてはカリンガ国と呼ばれ、アショーカ王の征服によってマウリア帝国の一部となりました。8世紀からはバウマカラ王朝が支配し、密教を中心とする仏教が盛んに信仰されました。80歳を超えて唐(中国)に渡り、『大日経』をはじめとする密教の経典を翻訳した善無畏三蔵(弘法大師空海の師の師)の故郷としても知られています。
この旅行では、州都ブバネーシュヴァルにあるオリッサ州立博物館や、ラリタギリ・ウダヤギリ・ラリタギリの三大仏教遺跡をゆっくり巡り、日本でもなじみの深い胎蔵・金剛界の両部の大日如来像をはじめとする密教の仏たち(いずれも石像)を訪ねます。
また、世界遺産に指定されている、コナーラクのスーリヤ寺院(太陽神殿)へも足を延ばし、ヒンドゥー教の精緻な彫刻を鑑賞します。(川﨑一洋先生より)
現役住職にして仏教美術研究家
川﨑 一洋 (かわさき かずひろ)
昭和49年、岡山県生まれ。高野山大学博士課程修了。博士(密教学)。現在、高野山大学特任教授、四国八十八ヶ所霊場第二十八番・大日寺住職。密教の曼荼羅を中心に、アジア各地の仏教美術、仏教儀礼を研究。ネパールやチベットの各地でフィールドワークを重ねる。
著書:『四国「弘法大師の霊跡」巡り』(セルバ出版)、『弘法大師空海に出会う』(岩波新書)
共著:インド後期密教(上)(春秋社) 第1章担当
インド後期密教(下)(春秋社) 第6章担当