「蜀」は中国、三世紀三国時代の王朝で正式には「漢」、通称「蜀漢」とよばれました。現在の四川省を中心とする版図で、巴(は・重慶)蜀(しょく・成都)の地とも云われています。
司馬遼太郎の「街道をゆく」シリーズは1971年から25年も続き、その第20巻「中国・蜀と雲南のみち」で成都を訪ねています(1981年)。この旅行では、司馬さんの訪ねた後に本格的に発掘された、紀元前約1700年~前約1200年(夏晩期~殷後期)の「三星堆遺跡」と、紀元前約1200年~前約500年(殷後期~春秋)「金沙遺跡」を専属の学芸員の解説で見学します。
そして司馬さんが辿った、紀元前3世紀に秦の李冰によって築造された都江堰、武侯祠、杜甫草堂と時代をくだりながら見学します。その後、803年に完成されたと云われる楽山大佛も訪れます。
極めて古い時代に属する驚くべき各種の貴重な玉器、金器、青銅器を目の当たりにし、名のみ知る故人の足跡を司馬さんの著書に助けを借りながら歩く、四川省・蜀のみちです。
※「金沙遺跡」は21世紀最初の中国における考古学的大発見と云われています。
―水野 記―