昨年、モンゴルの大草原で開催した月待ツアー、「8/24(土)発 モンゴルの草原で二十六夜の月待」に続く第二弾として、今年はサハラ砂漠で「月の出」を見ます。
突然ですが、月の出を見たことはありますか? 日の出は見たことがあっても、月の出を見たことのある人は少ないかもしれません。しかし、昔は違いました。多くの人が、日常的に月の出を見ていたのです。かつて日本には、特定の形をした月が出てくるのを待って拝む「月待(つきまち)」という風習(民間信仰)がありました。また、十五夜以降のいくつかの月にユニークな名前をつけて愛でていました。
かつて日本には、特定の形をした月が出てくるのを待って拝む「月待(つきまち)」という風習がありました。古くは民間信仰だった月待ですが、江戸時代に入って社会が安定すると、行事(文化)として大衆化しました。とりわけ江戸の町では、月の出がよく見える高台や海岸が月待スポットとなり、老若男女を問わずたくさんの人が集まって大賑わい。当時の様子は浮世絵にも描かれたほどです。
ちょっと想像してみてください。今か今かと月が出てくるのを待っている間の胸の高鳴り、月が出た瞬間の喜び、美しい月の姿を見たときの感激――「月のご来光」を見る行為は、感動にあふれています。
しかし、時代の流れとともに、この行事が廃れてしまったことが残念でなりません。そこで、風カルチャークラブと協力して「世界の月待巡礼」を企画しました。昔も今も、私たちにとって、地球にとって、唯一の存在である月が、世界のあちこちから昇ってくる様子を見て心を動かし、体験を仲間と共有する。その行為を、月を楽しむ古くて新しい文化として、「現代の月待」として、広めていきたい。そう願っています。
本ツアーは砂漠に2泊するので、月待のチャンスは2回あります。1回目は、十五夜よりも少し遅れて昇ってくる「十六夜(いざよい)の月」。この月は、2020年最後の満月と重なるため、「十六夜の満月」となります。
そして2回目は、立って月を待つという意味の「立待月(たちまちづき)」。どちらも昔の日本人が、東の空から昇ってくるのを待ちわびた月です。
月を楽しんだあとは砂漠で新年を迎え、「初日の出」を拝みましょう。
今回は、月と太陽、両方のご来光が見られる特別なツアーです。2つの天体がもたらす光のパワーを全身に浴びながら砂漠で過ごす年末年始は、一生の思い出になるはずです。
(星の文筆家、月文化研究家 景山えりか)
講師
景山 えりか (かげやま えりか)
星の文筆家
星の文筆家。月文化研究家。星空ガイドや科学ボランティアを経て、2008年より文筆家として活動。「星空を人生の一部に」をモットーに、星空や宇宙の魅力を伝える記事をメディアに多数執筆。また、旧暦や月の文化に造詣が深く、星の世界を楽しむ方法を幅広く提案している。一方、伊豆諸島・神津島で星空ガイド養成講座の顧問及び主任講師を務め、島民のガイド育成に尽力。これまでの実績が評価され、都庁からの依頼を受けて「平成29年度 東京都観光まちづくりアドバイザー」に就任。神津島に派遣され、星空を観光資源とした地域活性と、星空ガイドのレベルアップに協力している。著書に『月整活 月のリズムで暮らしと心を整える30の新習慣』(主婦の友社)など。
景山えりかオフィシャルHP https://www.kageyamaerika.com