三重県西部、曽爾高原は秋のススキが有名なエリアです。この地域には屏風岩や鎧岳といった断崖や奇岩からなる山体が多く存在しています。そこには縦長の柱を規則正しく並べたような柱状節理と呼ばれる構造が見られます。こんな景観を作りだしているのは過去の火山活動で形成された岩石です。では、いったい、どんな活動が?現地で実際に観察し、当時の火山活動を推測しましょう。
このエリアは基盤を構成する岩石もマグマが関連しています。複数回・異なる時代の火成活動が織りなす複雑な地質構造形成史を解説します。
現在、その活動が警戒されている南日本エリアの大規模カルデラ。紀伊半島では、過去の地質時代に、それに匹敵するスケールのカルデラを形成する火山活動の存在が確認されています。その痕跡を調べることで、これから起こる火山活動を推定する、そんな地質学と地球物理学のリンク的視点も楽しんでください。
大パノラマの景観、穂を伸ばし始めたススキ広がる曽爾高原、柱状節理をまたぐ尾根歩き、秋の高原歩きを楽しみましょう。
~ジオ・ワード~
室生火砕流堆積物 花崗閃緑岩 カルデラ噴火 化学的風化 柱状節理
※詳しくは当日の解説で!
~行程~
名張駅<公共バス利用>曽爾高原バス停(10:40)→亀山峠(11:10)→二本ボソ(11:40)※ここより先有料エリア500円/名→倶留尊山(12:20)展望解説・昼食休憩(13:00)→亀山峠(14:00)→曽爾高原入口(14:30)※最終バス(15:27)まで時間があれば散策 <公共バス利用の場合>名張駅(16:14)
【歩行:3.5時間 標高差累積:上り約400m 下り約400m】★
※注 歩行の目安(★マーク)の基準
★ 通常のウォーキングができる方なら十分参加可能
★★ 一般的なハイキング程度(距離とコース難度の両方を検討)
★★★ やや体力と技量が必要で、少し登山の経験がある人に適している(同上)
固い石も柔らかく解説
田中 宙 (たなか ちゅう)
1968年生まれ。京都大学大学院理学研究科修了。地球惑星科学専攻。主にフィールド調査をベースに地殻とマントル境界の物質科学を研究。現在、株式会社アカデミック・ブレインズ、シニア・ディレクターとして、基礎科学系を中心にアウトリーチと呼ばれる「最先端の研究成果を社会へフィードバックする仕事」に取り組んでいる。一方でフィールド経験を生かし、関西エリアの各地山域でネイチャーガイドとしても活躍。日本地形学連合正会員。