ロケットで宇宙にまで活動域を広げている人類がいまだ到達できない過酷な環境「地殻深部~マントル」そこにはどんな岩石があり、どんな地質学的な環境があり、今何が起こっているのか?案内者の専門分野でもある「地球深部の謎に迫る・地殻とマントル」シリーズ。
第3回目は、沈み込み帯深部からのメッセージ 龍門山超苦鉄質岩体です。
西南日本の外帯と内帯を分ける中央構造線。そのすぐ南には、九州から関東平野まで続く巨大な帯状の三波川変成帯が分布しています。近畿最大規模の露出である紀ノ川流域・龍門山エリアで観察します。その山を主に構成するのは、高圧の記録を残す超苦鉄質岩。周囲の変成岩との関係などから沈み込み帯の挙動を解説します。重いものが上昇してくる、そんな謎めいた挙動の理由が見えてくるかもしれません。沈み込むプレート由来の岩石、マントル由来の岩石、細かく観察してみましょう。
果樹園が多い里山の風情を楽しみながら、プレートテクトニクスの謎解きに挑戦するジオウォークです。
~ジオ・ワード~
三波川変成岩 高変成度部 蛇紋岩 かんらん岩 中央構造線 変成履歴
※詳しくは当日の解説で!
~行程~
JR粉河駅(9:50)→<タクシー分乗10分(現地払い)>→一本松(11:00)→田代峠(12:10)→山頂(12:50)→昼食休憩(13:20)→明神岩(13:50)→一本松(14:40)→JR粉河駅(15:40)
【歩行:5時間 標高差累積:上り約600m 下り約700m】★1
※注 歩行の目安(★マーク)の基準(距離とコース難度の両方を検討)
★ 一般的なハイキング程度
★★ 歩行時間も少し長めのためやや体力が必要
★★★ 少し登山の経験がある人に適している
固い石も柔らかく解説
田中 宙 (たなか ちゅう)
1968年生まれ。京都大学大学院理学研究科修了。地球惑星科学専攻。主にフィールド調査をベースに地殻とマントル境界の物質科学を研究。現在、株式会社アカデミック・ブレインズ、シニア・ディレクターとして、基礎科学系を中心にアウトリーチと呼ばれる「最先端の研究成果を社会へフィードバックする仕事」に取り組んでいる。一方でフィールド経験を生かし、関西エリアの各地山域でネイチャーガイドとしても活躍。日本地形学連合正会員。