※現在この講座は、戸田ご住職が都内に長期出張のため、休止しております。お戻りは今年の10月になりますので、それ以降に再開いたします。
時間に追われる毎日。『人とは、人生とは、自分とは何か』…そんな疑問が心に沸き上がるとそれまでの日常に戻れなくなりそうで、静かに立ち止まってみることすら躊躇していませんか。
霊峰剱岳の麓・越中上市町に建つ立山寺。立山信仰に繋がる開山伝承を有し、山神と竜神という神霊を開基とする禅寺に、日常の執着を離れ、坐禅と作務に打ち込む参籠体験があります。
『本堂や庫裡、回廊、参道の清掃』『人々の祈りに耳を傾け続ける石仏に静かに花を手向ける』『食と向き合う典座』など、澄んだ空気の中で息を整え、追わず囚われず、今の自分から離れて本来の自分へと返る坐禅と作務の日々。それが日常の中の異日常、立山寺参籠体験『“眞法身日常底”-坐禅と作務と-』です。
“さっかの寺”として親しまれている曹洞宗の名刹眼目山立山寺(さっかさんりゅうせんじ)。参道のトガ並木が大変有名で、映画「散り椿」の木村大作監督も惚れこみ、映画の重要なシーンで使われたといいます。参道の入り口には、真っすぐに空へとのびる杉が立ち並びます。二百メートルほど進むと、趣ががらりと変わり、樹齢四百年と伝わるトガの並木が現れます。県の天然記念物にも指定されているこの並木には、北陸の厳しい気候を生き抜いてきた木々が立ち並び、けっして一直線ではない人生のあり様を行きかう人に語りかけているかのようです。
眼目山立山寺は、室町時代の1370年に開創された曹洞宗の名刹で、立山権現と大徹宗令禅師の出会いに始まる開創伝説を有し、山神と竜神という神霊を開基とする大変珍しい寺院です。その昔、お盆のころになると、寺の開基とされる神霊、山神と竜神が待ち合わせをし、山灯竜灯となって大徹禅師のお墓へ飛来したという神秘的な伝承も残っています。
度重なる兵火や火災を乗り越えて、今も伝わる寺宝として、大徹宗令大和尚禅師頂相があります。これは、この寺のさらに奥の集落に住まいしていたという城坊太郎に由来します。城坊太郎は悪党として名をはせていましたが、大徹禅師との出会いが城坊太郎を変えました。禅師に会えない日があると、寂しくていられないほどに慕うようになった城坊太郎は、禅師の許しを得て仏師に禅師の木像を彫ってもらいました。大徹禅師自ら魂を入れ、禅師が呼ぶと頷いて答えたという、それが大徹宗令大和尚禅師頂相(富山県指定文化財)です。
『道元禅師(永平寺開山)―孤雲禅師―徹通禅師―瑩山禅師(總持寺開山)―峨山禅師(總持寺二祖)―大徹禅師』という法系畧を汲む大徹禅師は、曹洞宗大本山總持寺第二祖峨山韶碩禅師の高弟五哲の一人で、富山県や北陸一円にとどまらず、新潟・山形・福島・秋田・岐阜の各県下に多くの寺院を創建、立山寺と有縁の寺院が今尚、数多くあるという名僧の誉れ高き禅僧です。霊峰剱岳に抱かれた祈りの里上市町に静かに建つ、歴史と格式を有する由緒ある禅寺で“ひたすらに坐禅と作務に勤しむ日常”の中、本来の自分と出会い見つめ直す…それが立山寺の特別な参籠体験『“眞法身日常底”-坐禅と作務と-』です。
講師
戸田 光隆 (とだ こうりゅう)
富山県上市町の曹洞宗の名刹、眼目山立山寺第42世住職。
室町時代の1370年開創の立山寺は、総持寺二祖峨山韶碩の五哲大徹禅師と立山権現の出会いに始まる開創伝説を有し、山神と竜神という神霊を開基とする大変珍しい寺院です。