モロッコのハミリア村ってどんなところ?


写真・文●平山未来(東京本社)

現在、学生スタディーツアー・モロッコのメイン活動地となっているハミリア村。モロッコ支店スタッフをはじめ、その村を訪れたスタッフが「あの村は素晴らしい!」と口を揃えて言うくらい、たくさんの魅力があふれた活動地です。

では、いったいどのような場所なのか?
今回はQ&A形式でわかりやすく、ご紹介したいと思います。


Q1.ハミリア村はどこにある?
A1.カサブランカ空港から車で約12時間ほど。サハラ砂漠の大砂丘が広がる一大観光地・メルズーガの町から車で20~30分の場所にあります。

観光地じゃないから、こんなこともできちゃう!
観光地じゃないから、
こんなこともできちゃう!
ヤシの木が生い茂るテントサイト
ヤシの木が生い茂るテントサイト


Q2.住んでいる人たちは?
A2.ハミリア村にはサハラ砂漠の先住民「ベルベル人」が暮らしています。「ベルベル人」は、北アフリカのサハラ砂漠以北を中心としたマグレブ(日が没するところ)と呼ばれる地域に暮らす、ベルベル語を母語とする人々の総称です。「ベルベル人」といってもその人種は様々で、現在はアラブ人が大多数を占めていますが、ハミリア村では古くからアラブ人やベルベル人との混血を避け、アフリカ(黒人)系の先住民ベルベル人が多く暮らしています。人口は400人に満たない小さなコミュニティですが、大家族で一つの家に住み、仲良く助け合いながら暮らしています。

笑顔が素敵な子供たち
笑顔が素敵な子供たち
大家族で暮らす校長先生のお宅にもお邪魔させていただきました
大家族で暮らす校長先生のお宅にも
お邪魔させていただきました

Q3.ハミリア村の名物は?
A3.ハミリア村は、いわゆる”名所”や”観光スポット”はありませんが、ギナワ音楽発祥の地として音楽の世界では有名な村です。わざわざハミリア村のギナワの生演奏を聴くためだけに、観光客たちがこの地を訪れるほどです。実際に、ハミリア村のギナワ楽団は、ヨーロッパ諸国からの招待を受け、海外での演奏活動も行っているそうです。

このギナワミュージックは、16世紀後半に西アフリカ諸国からモロッコに連れてこられた黒人奴隷者やその子孫たちが、宗教儀礼や精神療法などをする際に奏でる音楽が基になったものだといわれています。ギナワの特徴は、伸びやかな歌や躍動的な踊りと共に、主に3つの楽器(太鼓、弦楽器、金属製カスタネット)を使用し、中でもカルカバと呼ばれる金属製のカスタネットのような楽器は形が独特で、その当時黒人奴隷者がモロッコで従事したのが主に鍛冶職人だったことに由来する、という説もあるそうです。

ライブハウスに響き渡るギナワ楽団の音色
ライブハウスに響き渡るギナワ楽団の音色
テントサイトで聴く夜のライブも最高でした
テントサイトで聴く夜のライブも最高でした


Q4.どんな暮らしをしているの?
A4.近年、水道と電気やガスが通うようになりましたが、まだまだ十分な設備はなく、食事は炭や薪で調理をしたり、畑で育てた野菜を収穫して食べたりと、自給自足に近い生活をしています。村には小学校が一つあるのみで、20km離れた町にある中学校には、ほとんどの子どもが経済的な理由で通学できません。中学生以上の年齢になると、近郊の町へ働きに出る子供も少なくありません。

昔、井戸として使われていた建物
昔、井戸として使われていた建物
畑で雑草抜きに励むお母さんたち
畑で雑草抜きに励むお母さんたち


パンは毎日家のかまどで焼くそうです
パンは毎日家のかまどで焼くそうです
炭火でじっくり温められたミントティ
炭火でじっくり温められたミントティ


Q5.滞在中、どんな活動をするの?
A5.2004年に設立された支援学校「KHAMLIA(ハミリア)」を訪問し、村の子どもたちに補助教育の一環として、日本語や日本の文化を紹介し、遊びを通して国際交流をします。この支援学校は、モロッコ政府や ヨーロッパ諸国の団体からの支援を受け、子どもたちに小学校で学習しきれなかった分野を補助的に教え、また十分な教育を受けられなかった親世代にも門戸を開き、現在は6~14歳までの村の子どもたち70人を中心に教育支援を行っている施設です。

実際、KHAMILIAでどのような教育支援活動を行うかは、現地に行ってから、一緒に旅をしている仲間たちと相談して決めてもらう形をとっています。 (過去のツアーでどのような活動を行っていたかは、過去の報告記を参考にご覧ください) 尚、同行しているガイドや添乗員も一緒に活動をサポートしますので、ご安心ください!


校庭には、サッカーに熱中している子供たちの姿も
校庭には、サッカーに熱中している子供たちの姿も
一番大きな教室には30人くらい入ります
一番大きな教室には30人くらい入ります


日本の歌を覚えるのが速くてびっくり!
日本の歌を覚えるのが速くてびっくり!
讃岐うどんを美味しそうに食べるこどもたち
讃岐うどんを美味しそうに食べるこどもたち


Q6.どんな場所で寝泊りをするの?
A6.村の中にある、村経営の旅行者用ベルベル式テントに泊まります。各テントは2名ずつで利用する個室仕様で仕切られていて、マットレスと毛布が備え付けられています。宿泊用テントの他、食事をとる時に利用する建物やシャワー設備とキレイな水洗のトイレ(いずれも共同)もあります。

テント村の前にはサハラ砂漠の景色が広がっており、夜は満天の星空と夕陽や朝陽を拝むことができます。砂漠の町ならではの、好ロケーションです。尚、このテントに泊まることで、村への寄付にもつながります。

そうそう、夕食に出して頂いた焼きたてパン、炭火でじっくり煮込まれたタジン料理、串焼き料理がとってもおいしかったです。じっくりコトコト時間をかけて作られるスローフードは、やっぱり格別ですね。


テントサイト全景
テントサイト全景
寝床にはマットレスと毛布が備え付けられています
寝床にはマットレスと毛布が
備え付けられています


サイト前は一面砂漠で夕陽と朝陽が美しい
サイト前は一面砂漠で夕陽と朝陽が美しい
星空の下、キャンプファイヤーにあたりながらギナワ音楽の演奏を聴く贅沢な夜
星空の下、キャンプファイヤーにあたり
ながらギナワ音楽の演奏を聴く贅沢な夜


Q7.用意していくとよい物は?
A7.

夜は暗くなるのでライトがあると良いでしょう
夜は暗くなるので
ライトがあると良いでしょう

サンダル、小さな懐中電灯、タオル(備え付けがありません)、風と砂の入りにくい服装(特に夜)、サングラス、お肌対策グッズ、マスク、星座早見盤など。それと、カメラや携帯の砂対策は忘れずに!


Q8.日本から持っていって喜ばれるものは?
A8.日本の遊び道具や文房具、ボール等が喜ばれます。また、基本的には添乗員が持っていきますが、日本食体験プログラムもありますので、これを食べてもらいたい!というものがありましたら、ぜひお持ちください。尚、モロッコ人の多くはイスラム教徒のため、豚肉成分が含まれる食品の持ち込みに関してはご配慮くださいますようお願いします。

折り紙を器用に折るこどもたち
折り紙を器用に折るこどもたち
小麦粉文化圏だけに(?)、うどんも大好評でした
小麦粉文化圏だけに(?)、
うどんが大好評でした


Q9.料理を作る場所にはどんな設備があるの?
A9.ガスコンロ(3~4口)、大鍋、串、油、大量のタジン鍋、ナイフ、おたま、水道、油や塩などモロッコ料理に使われる食器や調味料は基本的に揃っています。箸やザル、ボール等はありません。野菜は、村の畑や校長先生のお宅からお分けいただくことができます。その場にある物を使い、頭を悩ませながら作るのは楽しいですよ!

今回はテントサイトのキッチンでLet's cooking!
今回はテントサイトのキッチンで
Let’s cooking!
野菜は畑のお母さんの背中から頂戴しました
野菜は畑のお母さんの背中から頂戴しました


Q10.ハミリア村の魅力とは?
A10.とにかく村自体が素朴で、観光地を巡る旅では、まず体験できない素のモロッコの暮らしに触れられる、というところが大きな魅力です。また、ハミリアの村人たちは、みなさん(とってもシャイですが)人柄もよく、子供も大人も、何事に対しても一生懸命取り組む頑張り屋さんが多いことがヒシヒシと感じられました。そして何よりも、支援学校で交流した子供たちのキラキラと輝く瞳が、この旅で何よりも印象に強く残っています。

ようこそ!
ようこそ!
授業終了後は校庭で遊んで、すっかり仲良しに
授業終了後は校庭で遊んで、
すっかり仲良しに



これまで、私自身4回目以上モロッコへ足を運んでいますが、今までで一番、素顔のモロッコに触れられたと感じた体験でした。ホームステイするほどは勇気がないけど、現地の人と触れ合いたいという方にはとってもお勧めです!まだほとんど知られていない小さな村ハミリアを訪れ、素朴な村人たちとの交流から得られる貴重な体験は、きっと一生心に残る宝物となることでしょう。


テントサイトから望む満天の星空
テントサイトから望む満天の星空



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