SARSは、感染すれば殆ど重症化し重い肺炎を起こしました。だから、感染者を隔離することが比較的容易にでき、徹底したサーベイランスで収束に向かいました。今回の新型コロナウィルスは、無症状の感染者が多く、しかも無症状でも感染を拡げてしまいます。本人が気が付かないまま周囲に感染を拡げてしまうわけですから本当に始末が悪いウィルスです。社内でも、知らないうちに罹患して既に抗体を持っているスタッフもいるのではなかろうかと話しています。
また、SARSウイルスは主に肺で増えますが、新型コロナウイルスは喉でも肺でも増える、という違いがあるそうです。それが、味覚をなくさせる原因とも言われています。その代わり、唾液でPCR検査の検体が採れる利点(?)があるようです。
そんなことから、私には、国をまたいだ人の移動は、ロックダウン解除の延長線上にあるとは思えません。無症状の感染者がいる以上、検温するくらいでは水際作戦になりません。したがって、抗体検査か、直近でPCR検査などをしてその証明書(健康パスポート)の提示が条件になるような気がします。ワクチンがでれば“新型コロナイエローカード”(仮称)が必要になるのではないかと思います。
3月くらいまでは、長期戦になるとはいいつつも、いくらなんでも夏には終わるだろう、という甘い考えが心のどこかにありました。今から思えば、何の根拠もない単なる希望です。上記のことが分かってからは、本当に長期化すると覚悟しました。こういうことをいうと、悲観的だと批判されますが、私は、冷静に事実を述べているだけですし、悲観的でもありません。
希望は、ワクチンですね。英国のオックスフォード大学の開発に期待します。担当教授は、「MARSのワクチン開発で使った手法だから自信がある。自国のためだけではなく、その製造方法を広く世界に開放したい。9月には実用化できる」。とまでいっています。ワクチン開発の治験は、数人という小規模な第1段階の治験から始まりますが、大抵は、第2、第3段階で失敗することが多いそうです。しかし、同大学では、すでに1000人という大規模な治験に入っているというから期待できます。光が少し見えてきました!