10月から東京都民もGOTOキャンペーンの対象となり、私もその流れに乗って前々から気になっていた鳥取・島根を旅をしてきました。
飛行機と宿だけを予約して、レンタカーでのんびり回る気ままな旅でした。
最大の目的地は、鳥取県中部にある三徳山三佛寺。一般的にはその奥の院である国宝「投入堂」で知られています。投入堂は706年に役行者が法力でお堂を岩窟に投げ込んだとされている修験道の修行地でもあります。近づく道もないような断崖絶壁に建つ様は、ブータンにあるタクツァン僧院を彷彿させます。タクツァン僧院もブータンにチベット仏教を伝えた密教行者グル・リンポチェが虎にまたがって降り立ち、そこで瞑想修行をしたといわれる修行の聖地。日本でもブータンでも険しい山の中は修行に良いという考えは同じようです。チベット仏教好きとしては、日本の密教や修験道にも共通性を感じて、前から気になっていました。
前置きはこの辺にして、実際の登山の様子をご紹介します。
投入堂へ参道は、コースタイムとしては往復1時間半ほどなのですが、ぽぼ垂直に登る鎖場や、落ちたら即死の崖沿いの狭路があるなど非常に険しく、実際に数年に1度死亡事故が起きるほどです。そのため一人での入山は禁じられ、入山時に靴や装備のチェックがあります。ヒールのある靴やサンダルなどでは決して入山許可がでません。今回は、鳥取在住の友人A君(普段から山仕事をしている)が米子空港まで迎えに来てくれ2人での登山となりました。
入山口でチェックを済ませると、いよいよ登山開始です。
まずは小さな川にかかる橋を渡ります。聖地への入り口という感じです。そして、木の根と岩を足場に登る「かずら坂」。登るというより手も足も使って「這い上がる」という表現がぴったりです。続いて鎖を引きながらほぼ垂直の岩場を登る「くさり坂」。健脚かどうかよりも腕力と体重が問われます。この2つの難所を越えると断崖に舞台のように突き出した文殊堂と地蔵堂で絶景を見ながらしばし休憩です。
鐘楼で鐘を突き、左右が切り立った崖になった「馬の背」、「牛の背」を越えると目指す投入堂まであと少しです。観音堂の裏の「胎内くぐり」を抜けて「生まれ変わる」と目の前に「なんじゃこりゃー」という風景が広がります。ようやく目的地に到着です。
そもそも1300年も前にこんな場所にどうやって材木を運んだのか、どうやって組み立てたのか、まったくもって分かりません。ブータンのタクツァン僧院の修復の際には、山の上から麓にロープを渡し滑車で資材を運んでいましたが、同じようなことをしていたのでしょうか。投入堂自体には入れませんので記念写真を撮ったら下山です。
ここまででコースタイムの半分の45分程でした。通常、登山では下りの方がコースタイムは短くなりますが、ここでは下りも同じくらい時間がかかります。むしろ下りの方が滑りやすく事故も起こりやすいので、慎重に下りなくてはなりません。
最後は最初に渡った橋を渡って聖なる世界から下界に戻ってきました。コースタイムちょうどの1時間半で下山完了。下りはやはり滑りやすく、尻餅を2回突きました。
修験道にしても仏教(密教)にしても、過酷な環境に身を置いてこそ悟りの境地に近づけるという思想があるのでしょう。「登山」というより「アスレチック」という感じのコースで、宗教心があれば「修行」となるのでしょう。私も参拝を終えてとてもすがすがしい気分になりました。
そして、下山後は車で15分の三朝温泉へ移動し、汗を流してビールで乾杯。さらにすがすがしい気分になりました(笑)。
ブータンでタクツァン僧院に登った方は、「日本のタクツァン」もいかがでしょうか?
冬の間(12月~3月)は降雪のため閉山してしまいますが、GOTOトラベルも来年GWまで延長という話も出てきましたので、11月中に間に合わなくても、春以降にご検討ください。
参考
:三徳山三佛寺投入堂(鳥取県観光連盟)(外部サイト)
コメント一覧
淺川 由知2020.10.29 06:23 pm
水鳥2020.11.05 09:13 pm
ナカムラヒゲフミ2020.11.09 02:05 pm