みなさま、新年あけましておめでとうございます!
2021年第一回目のスタッフブログは、“漁師”という会社でのニックネームも板についてきた川上が担当いたします。せっかくなのでお正月らしい話題を……と思いますが、「お目出鯛」関連のネタは前回のブログに記しましたので、今回は「サメ」の話題を少々。実はお正月にサメを食す地域は多く、日本海側の諸県や福岡、栃木などでは古くから親しまれている縁起の良い魚なんだそうです。
相模湾でもハンマーヘッドシャークとして知られるシュモクザメなどを見かけるのですが、人食いザメについて大げさに書くと海水浴場からお叱りを受けそうですので、昨年獲れた中でも特に思い出深いサメ(と名前がついているが人は襲わない“サメもどき”)二種をご紹介します。
※「旅行会社のブログで魚のネタ、需要あるのか?」「いや、きっと魚が好きな人も見てくれているに違いない!」 と、毎回自問自答しながら書いています。どうぞ温かい目でお付き合いください。
コバンザメ ~あんな物にもくっつきます! 前にしか進めないサメもどき~
水族館でも飼育されているコバンザメ(wikipedia) 。サメという名前がついていますが、実はスズキ目の硬骨魚類です。私がGETしたサイズは30cmくらい。最大では1mを超えることもあるようですので、まだまだ子どもだったのでしょう。大型の魚にくっついて泳ぐ姿で有名ですが、どういう訳かたまたま一匹でフラフラしているところを網にかかってしまったようです。
頭の“小判”には細かい棘のようなものが一方向に生えており、頭から尻尾方向に撫でるとツルツルした感触ですが、尻尾から頭方向に撫でるとザラザラとして指に強く引っかかります。つまり、“小判”はくっついている大型魚から振り落とされない為の吸盤になっている一方、自分の行きたい方向には容易に動ける凝った仕組みとなっているのですね。試しに頭を上にして冷蔵庫のドア部分へくっつけてみたところ、案の定、見事にそのポジションをキープ。進化というものは凄いなぁと感心しきりです。
ところでコバンザメ、実はとても美味しい魚なのだとそれ界隈では有名な話です。ある程度の大きさがあれば刺身を試してみたかったのですが、今回は醤油と酒のみでごく薄めにシンプルに煮付けてみることにしました。
一見、硬そうに固そうに見える表皮ですが、実際は意外なほどスッと箸が入ります。細かい鱗がついた黒い皮の下にはコントラストがまぶしい真っ白で柔らかな身が隠されており、それをホロホロと崩しながら取り出すと、煮汁の表面に膜が張るほどの透明な脂が染み出します。
そのお味は……前評判に違わぬ美味! 旨味が豊かで白身の大変上質な魚でした。多くの魚は大型の個体の方が味が良いとされますが、コバンザメに関してはその傾向が当てはまらないのかもしれません。「何の魚に似ている?」と聞かれると「ハテ?」という感じではあるのですが、あえて表現するなら、白身かつ脂の強いブリとかカンパチに近いのかもしれません。例の“小判”はゴワゴワして食べられる感じではありませんでしたが、箸で簡単にベリっと剥がすことができましたよ。
ちなみにこのコバンザメ、子どもの夏休みの宿題の題材としても活躍してくれました。感謝!
サカタザメ ~悔しいです!! 裏の顔があの芸人そっくりなサメもどき~
サカタザメ(wikipedia)を知っている人、食べたことのある人は、かなりマニアックではないでしょうか。こちらにもサメという名前がついていますが、実はサメではなくエイの仲間です。
身体つきやヒレの感じなど、特に下半身はむしろサメに似ているのですが、顔の裏側に笑ったように見えるエラと口がついているのがエイとしての矜持。その顔つき(?)が「悔しいです!!」で有名な某芸人さんに似ているため、漁師からは「ザブン○ルが穫れたぞ!」なんて呼ばれてしまうちょっと可哀想な魚です。似たような魚にカスザメというれっきとしたサメがいますが、こちらは顔の前方に鋭い歯が並んでいるのため容易に判別できます。
軽トラに乗り込むサカタザメ
ザ○ングルに似ている?
今回持ち帰った個体は1m近くあったと思います。エイの中でも特に食味が良いとされている種類らしいのですが、生で味見したところちょっと水っぽい。そんな時は油でカラッと揚げてしまうのに限ります。生姜やニンニク、醤油で濃い目に味付けして唐揚げにしたところ、狙い通り子どもたちからはとっても好評でした。ただ、「やっぱりちょっと酸味がある」とのことで妻からの評価はイマイチ。
また、私の技量のせいか歩留まりが悪く、生ゴミをたくさん出してしまったこと(正直に書くと、食べきれないので大胆に捨ててしまったこと)が妻の逆鱗に触れてしまいました。そして、さらにその怒りに輪をかけたのが、我が家で永遠に語り継がれるであろう“サメの呪い事件”。
夏だったので生ゴミは冷凍庫で保存していたのですが、サカタザメを入れたビニール袋に小さな穴があいていたらしく、なんとそこから大量の肝油が流れ出てしまったのです。冷凍庫はもちろん下段の野菜室まで薄茶色のネバネバした液体でコーティングされてしまい、野菜や肉を取り出しては濡れタオルで拭く、という作業を延々と繰り返す羽目になったのでした。当然、妻は怒髪天を衝くわけで、私はさめざめと涙を流すわけです(サメじゃないけど)。
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さてさて。私事ですが、禁漁期に伴って昨年末に船を降り、現在は「元・漁師」ということになりました。お正月明けからは、動物広場でポニーを引っ張るお兄さん&鮮魚店の販売スタッフとしてトリプルワークに励む予定です。忙しくて「もぉ~~~🐮 大変!」と叫びたくなるかもしれませんが、さっきネットで見つけた松下幸之助さんの「牛」にまつわる名言を胸に、前を向いて一歩一歩ゆっくり進んでいこうと思います。
大器晩成という言葉がありますが、そうすみやかに成功しないほうがいい。しかしあとずさりしてはいけない。一歩一歩、牛歩であっても進んでいかねばならない。それを考えられる人は立派な人だというような感じがいたします。
松下幸之助.comより引用・抜粋
海外旅行が再開するまでにはまだまだ日数が必要かもしれません。それでも、スキルアップのチャンスであるこの充電期間を無駄にしないよう、精一杯新しいことにチャレンジしていきます。
本年も、風の旅行社をよろしくお願いいたします。