2024年は黄葉に期待、色彩豊かな9月に設定
2011年に始まった当ツアー「カナダで乗馬・ゲストランチに滞在 -黄葉に囲まれ愛馬と過ごすカントリーライフ-」は、今年で13年目を数えます。途中、コロナ禍や山火事などでキャンセルせざるを得なかった年もありますが、これまで北米西部で現在も脈々と受け継がれているカウボーイ/カウガールの世界を垣間見ながら、カナダならではの環境で「外乗」を楽しんでいただいてきました。
舞台となるのは、北米特有の「ゲストランチ」というスタイルの施設です。ゲスト=客人、ランチ=牧場、つまり客人をもてなすための牧場。観光牧場と違うのは、そこかが牧畜を生業としている本物の牧場である点です。西部劇の中に登場するようなカウボーイたちの仕事場にお邪魔して馬に乗る、といった感覚でしょうか。
ただ、西部劇の多くは荒れ果てた砂漠や大平原が舞台です。一方、ツアーで滞在するフライングUランチは、標高1,000mの高原。グリーンレイクと呼ばれる大きな湖に面した敷地は、カナダらしい針葉樹と白樺やアスペンの林が混在する湖沼地帯で、牧歌的な風景に囲まれています。そして、秋になると葉が色づき、色彩豊かな景色に変わります。
そんなカナダ西部の秋を肌で感じながら外乗を楽しんでいただけるように、今期は9月後半に日程を設定しました。
6万エーカー(約243平方キロメートル、世田谷区の約4倍、大阪市とほぼ同等)を超える広大な敷地内には大小10以上の湖が点在し、軽飛行機が発着できる滑走路と、鉄道の駅まで備わっています。まさに西部劇そのもの。ツアー最終日には、カムループスの大型馬具屋さんでショッピングもお楽しみいただけます。
ゲストランチについて
でも、ゲストランチってなに?
フライングUってどこにあるの?
日本では聴き慣れない言葉なので、以下に少し詳しく説明しています。興味ある方は目を通してみて下さい。
カナダ、アメリカ西部に多く存在する「ゲストランチ」。そのルーツは、西部開拓時代の後期にさかのぼります。
当時、東部で暮らすある人に届いたのは、新天地を求めて西部へ旅立った友人からの手紙。封を開けると、「小さいながら牧場を経営している。遊びに来ないか?」の文字。
大陸横断鉄道が開通し、比較的気軽に旅行ができるようになった時代のこと。休暇を取って列車に乗り込み数日すると、車窓に広がるのは雄大なコロラドの山々や大平原。駅に迎えに来てくれた友人が日焼けした顔をほころばせ、これまでの苦労話を弾丸のように喋りまくるのを聴きながら牧場へ。さっそく自慢の愛馬で案内してくれた「小さな牧場」は小さくなく、彼の目には地の果てまで続いているように見えた。
西部の大自然に感銘を受けた彼は東部に戻り、その体験を事あるごとに吹聴するのが日課になった。そのうち噂が噂を呼んで、まだ見ぬ西部に興味を抱いた人たちは、彼からの紹介で牧場を訪ねるようになり、次第に多くの人が訪れるようになる。
開拓者に憧れはしても、それが簡単なことでないことは容易に想像がつく。だからリスクを恐れず西部に向かい、夢を成し遂げた人には羨望と尊敬の念を抱き、その場所を観てみたいと思うのでしょう。
ゲストランチは、アメリカン・カナディアンドリームを象徴する施設のひとつとして進化発展し、馬と共に歩んできた西部開拓精神を現代に継承する場所として、多くの人に愛され続けています。
ゲストは通常数日から1週間前後滞在し、カントリーライフにどっぷりと浸りながら、自然の中で乗馬を楽しみます。
青草の匂いに包まれた牧場に寝起きし、家庭料理を食べ、馬に乗って草原を散策する。夜の帳が下りると空には満天の星…。それらのイメージが都会に暮らす人たちをひき付けるのでしょう。北米のみならず、ヨーロッパからのゲストも少なくないので、いろいろな国の言葉が飛び交い、馬を通した国際社交場のような雰囲気を味わえるのも魅力のひとつ。
従来はシンプルで、素朴な体験を楽しむ場所であったゲストランチも近年は多様化を見せはじめ、いろいろな趣向を凝らした新しいタイプも登場してきています。都会的センスと利便性を自然の中に備えた、リゾートと呼ぶにふさわしいゲストランチも出てきましたが、伝統的なスタイルを守るカナダの代表的な老舗が、ツアーの舞台となるフライングUランチです。
フライングUランチ
フライングUランチは、100年以上の歴史を誇る、カナダに現存するゲストランチの中では最も古く続く施設として知られています。
日本からは、カナダ西部の玄関口、バンクーバーまで直行便で約8時間半。そこから国内線でカムループスという街まで飛び、車で約2時間。
カリブー地方と呼ばれる標高1,000mの高原、グリーンレイク湖畔の敷地は、カナダらしい針葉樹と白樺やアスペンの林が混在する湖沼地帯で、牧歌的な緑の台地。広大で肥沃な土地を利用した牧畜業が盛んな地域です。
所有馬は100頭を超え、各馬の性格を把握したカウボーイ&カウガールが、ゲストの経験や希望に合わせた馬を選び貸し与えてくれ、その馬が滞在中、自分の愛馬となります。
宿泊するのは、1911~1923年の間に建てられた古いログキャビン。中にあるのは、ベッドと机と薪ストーブ。朝晩の冷え込みが厳しくなる秋は、ストーブに火を入れると、薪が弾けるパチッパチッという音が心地良く響きます。食事の時間が近づくとカウベルが高らかに鳴り、それを合図にゲストがメインロッジに集まり全員で食事。
ホテルのような快適さはありません。しかし、必要なものはすべて揃っています。余計なものを排除し、馬と過ごすシンプルな時間。それが、ゲストランチの最大の魅力。ひと昔前の牧場生活を彷彿させる素朴な空間で、心地よい時間をお楽しみ下さい。
カウボーイを夢見て北米大陸へ渡った男
1961年東京生まれ。冬はスキーパトロール、夏は牧場の居候生活を経て、1988年に乗馬、スキー目的で、カナダ、ウィスラーに移住。スキーのインストラクター、丸太の皮むき、カウボーイなどで生計を立てながら数年を過ごし、1997年カナダの移民権を取得。カナダ山岳ガイド協会認定ガイド。ウィスラー遭難救助隊隊員。現地法人ジャパナダエンタープライズ代表として、ヘリスキー、ハイキング、乗馬を中心とした各種アウトドア・アクティビティの企画を手がけ、世界各地から訪れる人々を対象にガイドしている。
柳沢純さんが案内する
【予告】2025/9/15(木)発 カナダで乗馬・ゲストランチに滞在7日間 -黄葉に囲まれ愛馬と過ごすカントリーライフ-