ツアー名 ● 自然物の循環が活動テーマの「鹿角プロジェクト」スタッフ同行 宮城県・金華山 鹿の角を拾ってものづくり 復興支援ボランティア3日間
2023年5月4日(木)~5月6日(土)
文・写真 ● 竹嶋友(東京本社)
東日本大震災の震源地に最も近い有人地、宮城県・金華山。
今回、私が同行したツアーは、宮城県の牡鹿半島や金華山でものづくりを進める『鹿角プロジェクト』の活動に参加し、素材となる鹿角拾いのボランティアや試作品を作るお手伝いをする、2泊3日のツアー。
そもそも…この企画の背景
金華山(宮城県)は、恐山(青森県)や出羽三山(山形県)と並び奥州三大霊場の一つとして知られ、また、東日本大震災においては有人地として震源地から最も近くにあった場所としても知られています。
東日本大震災後、島全域がご神域にあたるこの島は、政教分離の観点から行政からの支援を受けられず、また、離島という特有の立地条件からボランティアが金華山に入山するための渡船手配や、中・長期的に日数を伴う効果的な活動を可能にするための寝食の確保など、支援活動を行うにも困難な場所でした。
風の旅行社と風カルチャークラブでは、2012年の夏より、金華山での東日本大震災復興支援ツアーの企画・運営を行ってきました。当時実施したツアーには約300名近い方々が支援活動に参加頂きました。
風の旅行社と金華山のつながり
(※2014年9月執筆)
受入団体 『鹿角プロジェクト』
東日本大震災後に発足した復興支援ボランティア団体「VCを支援する会」のメンバーが中心となり、2017年に組織された、自然物の循環をテーマにしたものづくりプロジェクトチーム。
宮城県の牡鹿半島や金華山に棲む牡鹿の角が春になって抜け落ちたものを拾い集め、その質感を活かしたものづくりを進めると共に、大学の研究チームへ調査協力も行なっています。縄文時代にこの地域でも実際に使われていた鹿角の釣針や、勾玉のような装身具など金華山の魅力を凝縮した記念品を販売し、その売上金を寄付することで復興に寄与すべく試作を重ねています。
宮城県・金華山の場所
金華山での復興支援活動から派生し「モノづくり」を通じた支援に発展した「鹿角プロジェクト」。風の旅行社ではこのような経緯から「鹿角プロジェクト」の活動に参加し支援するツアーを企画・運営することで、引き続き復興支援を継続しております。
女川駅で集合。さぁ、船で金華山へ。
女川駅で全員集合。まだ新しい駅舎は、2015年の女川駅再開を皮切りに「まちびらき」と銘打ち、新たな一歩を踏み出した町のシンボルです。
駅から金華山へ渡る船着き場方面へ歩いていく途中、仲見世通りのように飲食店や土産店などの商業施設が立ち並ぶ「シーパルピア女川」や、震災時に被災しながらもけが人を受け入れる重要な拠点となった女川町地域医療センターを訪問。
船着き場では、いつも気持ちよく我々を迎えてくださる船会社「潮プランニング」の皆さんと挨拶を交わし、いざ金華山へ。
乗船時間約30分ほどの船内では、船員さんが金華山の解説や震災時のお話しをアナウンスされていました。船員さんの当時から変わらない「遠方からこの町に足を運んで下さったお客さんに、少しでも女川や金華山、そして震災のことを伝えたい」という熱意を感じる姿勢に、本当にいつも頭が下がります。
金華山着後、早速、抜け落ちた角拾い。
金華山に到着後、まずは桟橋から山の中腹にある黄金山神社まで坂を上り、境内へ。ゴールデンウィーク期間中という事もあり、家族連れやカップルなど多くの参拝客で賑わっていました。
部屋に荷物を置いて食堂で昼食を頂きます。滞在中の食事は一般参拝客用のものではなく、神社社員の方々と同じ賄いの食事です。使った食器も自分たちで洗って片付けます。
その後、汚れてもよい服装と装備を整えて早速島内へ繰り出し、雄の鹿から自然に抜け落ちた角を探しに行きました。この日の天気は快晴。青空の下、眼下に広がるコバルトブルーの海上を、自分たちが島に入るときに乗ってきた女川からの船便が行き交っています。
鹿たちは決められた場所でポロっと角を落とすわけではないので、人間が「角はどこに落ちてるかな…」といった具合に島内を探し回るしかありません。それでも、スタッフや参加者皆さん各々「自分がもし雄の鹿だったら…水辺で落とすかもなー」とか、「いや、人目の付かない林の中で落とすかなー」など、“鹿の気持ち”になって、宝探しのように歩き回るのも楽しい時間でした。
遠くから「あ…あった!」と思って近づくと、落ち角に擬態した木の枝だったりして何度もだまされながら探すのですが、それでも見つけた時の興奮と嬉しさは何ともいえず癖になる体験です。3時間ほど探して全員で十数本の落角を拾う事が出来ました。
夕食とお風呂(神社では潔斎所といいます)を頂いた後、鹿角プロジェクトのスタッフ部屋に集まって、ガイダンスを実施しました。
鹿角プロジェクトは前述の通り、東日本大震災の復興支援ボランティアメンバーが中心となり起ち上げた団体。震災後に金華山で実施してきた復興支援活動のお話、子供の頃から金華山が遊び場であった長老スタッフからは金華山に棲息する鹿や猿などのお話、そして現在鹿角プロジェクトが進めている落角を材料にしたモノづくりのお話などをうかがいました。実は筆者(竹嶋)も鹿角プロジェクトのメンバーでもあるので、ガイダンスの一部を担当し話しをさせて頂きました。
そして、ガイダンスの後は、参加者みなさんとスタッフで和やかにおしゃべりをしながら、夜が更けていくのでした…。
金華山山頂へ。そして突如の下山…。
翌朝。早朝に早起きをして神社のご祈祷を受け、朝食を頂いた後、金華山山頂(444.9m)を目指して山登り。山道の周囲に落角がないか探すことが目的ですが、普段あまり人があまり歩かない山道を踏み固めることで、山道の整備にも役に立てます。
本来、この日(2日目)も金華山に宿泊する日程だったのですが、翌日(3日目)の女川へ帰る船便が荒天予報により欠航確定となったため、急遽この日中に金華山を出る事態に…。天候には勝てませんので、荷物をまとめて金華山を後にしました。島である金華山では、よくある事なのです。
鹿角をつかって、作品作り
最終日は、鹿角を素材にした試作品作りのワークショップ。本来、金華山黄金山神社の作業場をお借りして実施する予定でしたが、鹿角プロジェクトスタッフが懇意にしている民家の庭をお借りして実施しました。
このワークショップの目的は、鹿角のモノづくりに触れて体験いただく事で、鹿角プロジェクトスタッフ以外の方の新鮮な視点から、新しい製品づくりのヒントやアイディアを参加者からフィードバックして頂く事です。
電動工具も使いますので、開始前に工具の使い方や注意事項をご案内してから作業に取り掛かります。
もちろん、皆さんが制作された試作品は、旅の思い出としてお持ち帰りいただきました。
ご参加頂いた皆さま、ありがとうございました!
今回同行したツアーはこちら [2024年GWも企画予定!]
*年齢制限はありません。※小学生以下の参加は、1名様につき18歳以上の保護者1名様の参加が必要です。
自然物の循環が活動テーマの「鹿角プロジェクト」スタッフ同行
2025/5/3(土祝)発 宮城県・金華山 鹿の角を拾ってものづくり 復興支援ボランティア3日間