コロナ前後で変化したツアー代金

今年、ツアーにご参加いただいた皆様、そして、これからご参加いただく皆様には心より御礼申し上げます。今の弊社にとってこれほど有難いことはありません。現地も大変喜んでおります。
感染症法上の扱いも5類に変更され、入国制限を含んだ水際対策も終了し、ほぼコロナ前に戻りましたから、海外ツアーもさぞかし好調でしょうと言われますが、航空券代金と燃油サーチャージ、そして現地のホテル、交通、食事、ガイドなどの代金の高騰が、大きなブレーキになっています。また、コロナ以前とは、仕組みや環境が大きく変わってしまい戸惑っています。
例えば、ツアー用の航空券を設定しなくなった航空会社が益々増えてきたことです。ツアー用の航空券とは、予約してもすぐには発券しなくてもよく、ツアーの取消料規定の範囲内で航空券の取消料がほぼ収まる仕組みの航空券をいいます。こういう航空券をIT(アイティ)運賃といいますが、IT運賃を止めPEX(ペックス)運賃だけしか設定しない航空会社が増えてきたのです。ネパール航空もその一つです。

PEX(ペックス)運賃が主流に

PEX運賃は、予約後72時間以内に発券·購入となり取消料が発券と同時に掛かります。皆さんが国内線をネットで予約するときには、そういう運賃が殆どだと思います。早く予約すれば安くなりますが、急用で旅行を中止すれば大きな損失を被ります。すべては自己責任で片付けられてしまいます。これでは、ツアーには限定的にしか使えません。
そして、もう一つ、旅行会社を苦しめているのはダイナミック運賃です。かつては、空気を運ぶよりは安くしても空席を埋めた方がいいといわれ、航空会社は売り上げ至上主義でした。今は、一座席当たりの収益率を高めるマネージメントが徹底され、混んでいれば高くなり空いていれば安くなるというダイナミック運賃が主流になってきました。
それでもコロナ前は、PEX運賃もダイナミック運賃も一部を除いて一定の幅の中にありましたから、多少のリスクはあっても、航空券の値段を予測してツアー料金を設定することができましたが、料金の幅が余りにも開き、予測が難しくなってきました。例えば、エコノミークラスを10段階に分け、最低価格4万円弱、最高価格約40万円という料金まで出てきました。安い料金で取れればいいのですが、そんな料金で予約が取れることはまずありません。実際、予測より10万も高くなってしまい、折角、申し込みを頂いてもお引き受けできなかったりします。

人員の足りない空港

デジタル化が進む前は、航空券はエコノミークラスやビジネスクラスのサービスの価値と料金が一致していました。今は、時価になり、時にはエコノミークラスとビジネスクラスの料金が逆転することすらあります。しかも、コロナで航空会社の人員が大幅に減り、パイロットもCAも整備要員も増員が間に合っていません。また、空港の検疫官やチェックイン業務とか荷物を飛行機に載せるなどのグランドハンドリング業務を担う人員も足りず、増便が思うに任せないため、回復しつつある需要に航空座席の供給が追い付きません。その結果、航空券代金が高騰しているのです。そのうえ、燃油サーチャージは石油の高騰に呼応して大幅値上げされました。航空券代金を自由自在にコントロールできる航空会社に、燃油サーチャージの仕組みが必要かも疑問です。
加えて、現地の物価の高騰、特に人件費の上昇には驚きます。コロナ前と後での最大の変化はこれです。日本は、まるで浦島太郎になったかのようです。アジアのツアー代金ももう簡単には安くならないと認識せざるを得ません。
そんな訳で、弊社のスタッフもツアー代金の設定に悩みながらこの季節便を作りました。言い訳の様になりましたが、ご理解を賜り益々の応援をお願い申し上げます。


※風の季節便 vol.21より転載

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