先週、三浦雄一郎氏の講演を拝聴した。ご存知の通り同氏は80歳でエベレスト登頂を果たし、ドクターストップで断念したものの85歳で南米最高峰アコンカグアに挑んでいる。現在87歳。90歳で同峰ヘの再挑戦を考えているというからたまげる。
それにしても、年を取るほど輝くとはこういう人のことをいうのだろう。エベレスト登頂に至る経緯をお聞きするとたまげてしまう。7大陸の最高峰からの滑降を終え60歳になると、のんびり札幌で過ごそうとスキーを止めたそうだが、運動もしないのにステーキなら1キロを平らげ、食べる、飲む、の不摂生な生活をおくるうちに、自宅の階段も上るのに難儀するほどメタボになり、不整脈に190という高血圧、余命三年とまで宣告されたというのだ。
通常なら、ここで人生終わりである。ところがお父さんの三浦敬三さんが、白寿でモンブランからのスキーでの滑降に挑戦するのをみていて、それなら自分はエベレストに登ろうと決め、脚と背中に重りをつけて歩く訓練を始めたそうだ。その結果、70歳、75歳、そして80歳の三回エベレスト登頂を果たしている。もちろん、同氏の登頂を支えた多くのスタッフが優秀なことは言うまでもないが、ご本人のその気力には感心するほかない。
ご本人は、スーパーが付く楽天家だと自分を評しておられた。確かに、85歳でアコンカグア登攀中、低酸素で苦しんでいるはずなのに、これならまたエベレストに登れそうだと、考えたというのだから楽天家以外の何物でもない。
現在も、脳梗塞の治療中だそうだ。それでも、まだまだ挑戦を続けるという。私には、まだ経験がないが、70過ぎて大病をすれば、大抵は、一挙に老け込むのが普通だ。もしかしたら、その原因は、体よりも心の問題なのかもしれない。と講演を拝聴していて思えてきた。
もちろん、三浦雄一郎氏のような強靭な肉体はないから同じことをしたら体が壊れてしまうに違いない。しかし、何歳になっても何かをしようと、心が前向きなら体もついてくる。そんな気がしてきた。体を鍛えるから元気なのではなく、心が老いないから体も元気。そう考えると別の世界がみえてきた。
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杉中圓隆2020.08.01 08:46 am