日本では、昨年の4月以降一度も大学へ行っていないという大学生の話が何度も報じられてきた。一部で対面授業も再開されているようだが我慢を強いる状態が続いている。
そんな中、今週月曜日の夕刊の一面に「米大学、広がる無症状PCR – 週1~2回検査『早期隔離カギ』」という記事が載った。“日本とは全く違う。凄い!”と感じた。もっと詳しい報道はないかと調べたら、1/23(土) 14:00 朝日新聞デジタルで『米名門大「脱オンライン」への挑戦 探り出した感染対策』と題した記事が配信されていた。以下、その記事からまとめてみた。
ニューヨーク州にあるコーネル大学は、昨年9月から約2万8千人の学生、教職員が週1~2回(学部生は週2回)PCR検査を実施。検査数は秋学期の約3カ月で約45万件。陽性者は計303人。陽性率は1%以下。2月からは学部生の8割以上が寮に戻る予定。対面授業は約3割で、これまでに授業での感染はない。他大学同様、昨年3月から順次オンライン化。大学を閉鎖し寮や下宿にいた学生は自宅に戻っていたが、「キャンパスで学生生活を送りたい」との声があり、副学長は「プール方式」大規模PCR検査(日本の厚労省は認めていない)で感染を大幅に抑えられる、という論文で注目されていた同大のピーター・フレイジアー准教授(情報工学)らに依頼し、11人の研究チームを作って学内感染抑制のモデル構築を始めた。どの程度の陽性率の地域から何人の学生が大学に戻るのか、学内での接触や飲食の頻度、接触時間、寮や教室の占有率など、様々な要因を加えていった。
約2カ月後、再開への感染抑制モデルが完成。大学や寮に学生を戻して定期的にPCR検査をする場合と、大学を閉鎖しオンライン授業を続け学生らを検査しない場合とを比べると、感染者数は「大学閉鎖のほうが数倍多くなる」となった。しかし、学部生は週2回、教職員も週1~2回の検査を受け続ければ、陽性者数はどんどん減るが、当初は、陽性者が約1千人見つかる可能性があるとの試算も出た。このころ同州は、隣接しない州からの移動に一律14日間の隔離を求めていた。別の教職員チームは、同州に戻る学生らの隔離に必要なホテル探しに走り近隣に計約1千室を確保した。
再開への動きが進むと、地元住民らから「町に感染を広げるのか」と激しい批判が起きた。しかし、副学長らの決断は揺るがなかった。「批判の多くは恐れからくる感情的なものだった。リスクがゼロという選択がない中では、科学に立脚した安全策を取るしかない」。学内外への説明会は8月までに20回を超えた。9月、学生が検査を受け始めると、すぐに陽性者が出始めた。だが予測どおり、検査を繰り返すと、感染者はどんどん減少した。対策に必要な費用は1年で約2500万ドル(約25億円)。しかし、大学が明確な方針を打ち出せず、入学を延期する学生が続出すれば、損失は最大2億ドル(約200億円)とも試算。そうなれば大学側は人員削減しなければならない。迷う余地はなかったという。
こうした無症状の感染者を見つけ出す「サーベイランス検査」が、米大学に広がっている。科学的な見地に立ちてば自ずとこうなる。日本はどうか。見るも悲惨、語るも涙である。日本には、合理性という言葉はないのかとさえ思う。
私を含め多くの人が「徹底した検査と隔離」が感染拡大防止の手段だと無症状の感染者が感染を拡げると判ってから主張してきた。しかし、検査はその時点だけの結果で安全は保証されない。無症状者に検査を増やしても資源の無駄で片付けられてきた。なのに、変異株の検査は40%まで引き上げることを感染拡大防止対策だと主張しだした。この変異株検査は結果を確認するだけで、「サーベイランス検査」による積極的な感染防止策には一つもならない。何故、これが感染拡大防止に繋がるのか。私には理解できない。
オーストラリアが昨年の4月から実施している下水道を使った地域限定集中「サーベイランス検査」の技術も北海道大学でさらに一歩進めて開発されているが、日本は、それも使わないだろう。残念だが、日本は、ワクチン接種にすべての望みをかけ、それまでは我慢と自粛で乗り切るつもりらしい。