左足の下に厚さ3mmの板を置き壁に向かって立たされた。背後から先生が「どうですか? こちらの方がバランスいいでしょう」
私の体は左に傾いているらしい。人間は、無意識に楽な姿勢をとる習慣が身に付き、その結果、体が左右どちらかに偏ったり歪んだりするのだそうだ。そういえば、集合写真や記念写真を撮るときに“〇側の肩を挙げてください”といわれたことが何度かある。あれは左肩だったのだろうか。「少し腕が前に出て猫背になっていますねえ」これも以前、いわれたことはあるが殆ど気にしでこなかった。しかし、こうした姿勢の歪みや偏りが、体の動きを悪くし全体を固くしてしまっていると先生は丁寧に説明してくれた。
今度は、仰向けに寝かされ骨盤の右側を少し持ち上げられた。まるで斜め左を向いているような感覚になったが、「これで正面を向いています」という。股関節、太もも、脇腹、肩甲骨、どこもかしこも固くなっていると先生は半分呆れ顔。自慢じゃないが、体の固さだけはピカ一だ。「この捻じれを直していきましょう」という先生に従い、この際、長年の悪い習慣を取っ払おうと決めた。
昨年の9月に脊椎間狭窄症と脊椎分離症の手術を受けた。腰部にボルトが4本入っている。手術から1年近くたった今も、切った後の周りの筋肉が固くなっていて張りが取れえない。クッションの役割を果たす腰の筋肉が役割を果たしていないから、両座骨あたりが痛くなって腰が抜けそうになるのだと鍼の先生は解説してくれた。
手術をした整形外科にもまだ通っているものの、症状を説明しても、「しっかりボルトは固定されていますから大丈夫でしょう。痛み止めを出しますか?」といわれるばかりで、これ以上の治療は求めることを諦めた。自力で何とかするしかないと思い、鍼とカイロプラティックに通っているというわけだ。
もちろん、整形外科の先生にも、ストレッチをし、腹筋、背筋を付けるための努力をし、適度な運動をするようにいわれたが、なかなか続かない。ワクチン接種で、自分が高齢者であることを改めて自覚した。今からでも遅くはない。QOLを心地よいものにして、もう少しあれこれ頑張りたいものだ。否、むしろ今からの方が大事かもしれない。
話は別だが、そろそろ選手村での選手たちのストレスが限界に達しないかと心配だ。ルールで縛れば縛るほど、選手のメンタルは押しつぶされていく。嘗ては、ストレスに打ち勝つことが強い選手の証と賞賛されたが、今は、むしろストレスを強要する環境を作ったことの方が問題視されるのではなかろうか。ついにストレスで試合を辞退する選手も出始めた。
選手たちは物言う人々でもある。抗議というより当然のこととして意思を表明すれば、世界に受け入れられるに違いない。むしろそれが世界標準である。果たしてどうなるのか。胸騒ぎがしてならない。