東京は、緊急事態宣言が9月月末まで延びた。もう誰も驚かない。緊急事態宣言が出ていようがいまいが、通勤電車は乗降客が減る様子もなく、夏休みが終わって高校生が戻ってきたので、かえってまた車内は混雑し始めたように感じる。
それにしても、急激に新規感染者数が減っている。専門家も首を傾げるほどだ。ワクチン接種が進んだとはいえ、まだ、国民の半数ほどにしか達していない。あの西浦教授の予測は幸いにも外れたといえよう。社内でも話題になるが、検査数を減らして少なく見せているのではないかと疑う者すらいる。今日、16日、東京都は831人で1000人を切り先週から844人も減った。
一方、路上呑みが殆どいなくなったそうだ。結構、酒を出す店が増えたから、路上で呑む必要がなくなったからだといわれるが、そうとばかりはいえまい。私が思うに、自宅療養で病院にも行けず死んでしまうケースが繰り返し報じられ、基礎疾患があるとはいえ10代の死亡者まで出て若い人たちの間に恐怖感が拡がったことで、「若者の自粛」が進んだことが新規感染者大幅減の要因ではなかろうか。若者の感染者の間でも後遺症がかなり出ていることも、恐怖心をさらに増幅させているに違いない。
テレビも新聞も読まず、SNSの世界だけで生きている彼らにとって、コロナの話題は、社会を知ることではなくSNS井戸端会議の噂話の世界である。知識がないから、「コロナへの恐怖心」が感情伝播で広がる。自分で判断する力など全くない。ワクチンに対する「デマ」がSNSで拡がったのと同じ構造で「若者の自粛」も広がったように思う。以前から、何度も申し上げているが、これで日本は大丈夫なのだろうかと思ってしまう。
極端な言い方かもしれないが、あくまで個人の自由が最優先でありコロナに感染して死ぬのは自己責任、と考える人が大勢いる欧米と、何よりも人命が第一であり個人の自由は二の次と考える人が多い日本では大きな差がある。ことの良し悪しではなく、価値観の違いとしか言いようはないが、コロナで経済活動が止まったままでは、生活苦に立たされ人生が一変してしまう人も多く出る。極端な話、命を落とす人も少なくない。人命第一を声高に主張する解説者の話を聞いていると、私たちはどうしたらいいのかとつい言いたくなる。欧米流の考え方を少しは取り入れてはどうだろうか。
ご存じのように、飲食店の方々には規模に応じた支援金が出ている。私たち旅行会社には20~30万(2021年1月~8月まで)が国や都道府県から出ているが、会社規模に関係なく一律である。どうしてこんなに差があるのか。事情に詳しい人に尋ねたら、旅行会社には自粛要請は出しておらず、県をまたいだ移動の自粛要請は、観光業者に向けたものではなく、個人に向けたもの。旅行は出来ないだけで、国や行政が止めているわけではない、ということらしい。これでは、どうやっても納得がいかない。