先日、米国のゴルフトーナメントの中で、唯一日本で行われるZOZOチャンピオンシップが開催された。5,000人という観客制限があったとはいえ、テレビ中継の画面を見る限り大勢のファンを引き連れてラウンドするトーナメント風景は以前の状態に戻りつつあることを実感かさせてくれた。
それにしても松山英樹の優勝は見事だった。今年4月のマスターズの優勝といい集中力が極度に高まった時の松山からは、その張り詰めた空気感がテレビ越しにも伝わってきて見ている側も凜として気持ちがいい。5,000人の観客も、殆どが松山英樹の組に集中し大混雑状態で、制限に意味があるのかとすら感じたが、マスクをして静かに観戦し、選手のプレーを拍手で称える。そんな日本人のゴルフファンのマナーに海外から来た選手も感心していたそうだ。
韓国と中国にも同様のトーナメントントがあるが今年は中止になり、ZOZOチャンピオンシップだけが開催された。なんと、オリンピックと同じバブル方式が日本開催を可能にしたという。来日する選手は10日間の隔離が免除される代わりに、前週のネバダ州でCJカップを終えた選手は、その日の夜のチャーター便に乗ることが義務付けられ、日本到着後は空港からホテルに直行。ホテルとゴルフ場でしか過ごせないという徹底したバブル方式だったそうだ。オリンピック同様、こんなやり方はお金がなければできないが、そこまでしなければ隔離なしの海外往来が認められない日本の現状を思い知らされもした。
行動規制が緩和され、1月からはイベントの観客数上限10,000人もなくなることが昨日のニュースで報じられた。もちろん、第6波も懸念されており余談は許さないが、胸を撫でおろしている方も多かろう。演劇もコンサートも制限がなくなれば観客は徐々に戻ってくるだろう。飲食も、行動パターンが変わったから夜8時ころには家路につく人が多いというが、忘年会シーズンでまた遅くまで飲む習慣が復活するのではなかろうか。テレワークが主流になれば、イベントも飲食も大きな影響を受けるだろうが、どうもそれも今はなさそうだ。
先週、カミューの『ペスト』を再読した。日本の第5波が急激に収束に向かった理由は専門家でも解からないらしいが、私には、コロナウィルスそのものが変わってきたように思えてならない。その思いの殆どは私の期待感だが、もう暴れるだけ暴れたのだから暫く休んではくれまいか。カミューは、一旦は収まってもペストはまたやってくると警告している。ウィルスとの戦いは人類の永遠のテーマだろうがしばし休息をお願いしたい。