立て直し

お盆休みで16日までは休業をする飲食店が多く、ご飯を食べようと思ってもチェーン店しかやっておらず難儀した。いくらお盆でも、コロナ以前はそれなりに個人の飲食店もやっていたような気がするが、これもコロナの影響かとつい考えてしまう妙な習慣がついたせいかもしれない。

昨夜も、仕事で20時を回ったので何か食べて帰ろうと思い、西武線の駅前にあるチェーン店の定食屋に入った。普段、この店で席待ちするお客さんがいるのを見たことはないが、何人か待っていたのでその列に並んだ。座ってからも注文を受けてもらえず更に15分ほど待たされた。

満席の上に、コロナで加わったテイクアウトもあり、且つ待ちのお客さんもいる。注文は掌に収まる小端末で行うから、厨房ではディスプレーに映る注文内容を見ながら調理し、フロアーのスタッフも、何番テーブルにどの料理を運ぶかは一目瞭然のはずだが、ある間違いから混乱が始まった。

Aテーブルのお客さんから、店で食べる分とは別にお土産に持って帰る料理を頼まれたらしい。スタッフがお土産の料理をAテーブルに運んでいくと、頼んでいないといわれてスタッフは困惑。そこからこの土産はどのお客様の注文かというスタッフ間のやり取りが始まりオぺレーションの流れが止まってしまった。一旦流れが止まると他の注文への対応にも影響が出て、“少々お待ちください”という声があちこちで飛び、注文を受けるのを一時中断することになってしまった。私の15分待ちは、それにはまった結果だったのである。

それでも、スタッフたちが一生懸命やっている様子が伝わってきたので嫌な感じはしなかった。男性ばかりのスタッフで、私くらいの年配者から20代の若者までが一緒に働いている様子は好感がもてた。誰がリーダーかは分からなかったが、混乱の原因は、慌ててしまったことにあるように思えた。要するに浮足立ってしまったというやつだ。注文を止めたのが功を奏し15分くらいで元に戻った。なかなか大したものである。

私の生家は、私が生まれる前から菓子屋を営んでいて、小学生の頃から店を手伝わされた。私が高校2年生の時、兄が東京での修行を終えて帰ってきて、餅・饅頭に加えて洋菓子の製造販売もする店に変わり一挙に売り上げが増えた。その年の正月の売り出しは、まさに大混乱。高校生になって店番もこなせるようにはなっていたが、狭い店に20人近いお客様が、自分の番はまだかと無言の圧力をかけてくる。つい焦ってしまってミスをする。ミスがミスを呼んで混乱。そんなときは、一息於いて目の前のことから一つずつやっていく。そんな習慣が自然と身についた。

コロナで、世の中の幾つかの習慣が変わってしまった。顕著な例は、日本では割合は低いとはいえテレワークが定着し飲食店は大きな影響を受けている。ここにきて外食産業の閉店が相次いでいるが、2割も売り上げが下がれば店は続けられない。旅行も、まだ様子見のところはあるが、弊社で扱う国や地域も従来通りとはいかないところも出てきている。さあ、どうするか、思案のしどころである。

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