8月キルギスの乗馬トレックのツアーに行ってまいりました。満点の天候と楽しいお客様にも恵まれた旅を報告いたします。
1日目:8/11(金) 日本⇒ソウル⇒アルマトイ
出発前から天気予報とにらめっこ。乗馬中天気がいいことを祈りつつ、ソウルで乗り継いだ飛行機は少し遅れて到着。さっそくガイドさんに(こっそり)ここから先の天気予報を聞いてみましたが、あまりいい予報が出てないようで、少々不安に。
2日目:8/12(土) アルマトイ⇒(国境)⇒カラコル
朝の空は少々雲多め。今日はかつての天山北路に沿って長距離移動です。カザフスタンの旧都アルマトイから少し北に進み、そこからほぼ東へまっすぐ。左手(北側)にはステップの呼ばれる平原地帯が広がり、右手(南側)にはキルギスとの国境を形成する山脈が連なる道を進みます。中国の伊寧(イーニン)まで伸びるこの道は一帯一路政策の恩恵でしょうか、拡張整備され、走りやすくなっています。
昼食には、カザフならではの食事・馬肉をいただきました。「馬肉のビシュバルマク」。ビシュバルマクとは「五本の指」の意。昔、フォークのない時代、五本指を使って食べたことからその名が残っているようで、中央アジアの名物料理の1つです。ここの馬肉は思ってたようなくせもなく食べやすくて好評でした。
高速道路のような道から、昼食後は、キルギス国境へ向かう脇道に入りました。ワンランク道が悪くなります。道は、チャリン川の河岸段丘を越え、キルギスに向けて2つほど小高い丘を越えて行きます。このあたりで雲行きが悪くなってきました。ちょうど峠にかかるころ黒い雨雲が我々の頭上にやってきました。バチバチあたる音。雹(ひょう)です。雨と雹で前が見えません。前を行く車も停車して様子見。道路わきの溝は川のようになって雹の塊が流れていきます。10分ほどして雨雲が去り、天気は好転。国境までにつく頃にはまったく回復していました。
国境は夏休みのためか、車が列をなしています。標高もそれなりにあるため、車外に出ると空気はひんやりします。田舎の国境なので待ってる車は少ない方でしたが、それでも今回は1時間半ほどかかりました。
国境を越えたら道路が工事中の連続。工事が終われば快適な道になるのだろうが、かなりの距離を拡張してるようで、なかなか進まなさそう。このペースだと来年もきっとまだ工事中でしょう。速度が遅い分、のどかな放牧や養蜂の風景、天山の木々、その間を縫うように流れる川などをのんびり眺めながら今日の宿泊地カラコルへ。
宿はスタッフも親切で気持ちのいい、清潔感のあるゲストハウス。ゲストハウスとはいえ、お湯のシャワーもしっかりでてうれしい限りです。
3日目:8/13(日) カラコル⇒タムガ⇒コチコル
今日は朝からロシア正教会と清の時代に中国から逃れてきた回教徒たち(ドンカン人と呼ばれています)の作ったモスクを見学。そして質のいい小物のお土産がうれしいお店などに立ち寄りながらカラコルの市内観光。
おやつ替わりに、ドンカン人がこれまた中国からもってきた「アシュランフー」という軽食を食べて小腹を膨らませて出発。冷麺感覚で食べられるので夏の暑い日には最適。
ここからはイシククル湖南岸を走ります。先日の天気予報を裏切って快晴になりました。ただし、昨日に続き、工事中が多いのが玉にきず。話では、キルギスの偉い方がイシククル州出身で、この辺一帯のインフラ整備に力を入れているんだとか。キルギス国民のためと思って、ここはじっとガマン。
ちょっと時間に余裕があったので、「おとぎ話の谷」と名付けられた谷「スカズカ」に寄ってみました。赤い色を帯びた巨大な岩が、恐竜の背びれのように湾曲して盛り上がっています。
昔話によると、まだイシククル湖がたくさんの町がある大きな谷だったころ、巨大な赤い竜がひとりの若い町娘に恋をしてしまった。でも娘はまったく相手にしない。怒った竜は谷にある町を全部沈めてしまおうと、魔法を使って町中の井戸という井戸の水を汲みだそうするが、人たちは竜の魔法封じの金のふたで井戸を封じているので水が汲みだせない。ただ、その美しい町娘が、一回だけふたを閉め忘れたことがあった。その時竜はすかさず、彼女の井戸から水を吸い上げ、町という町をすべてを沈めてしまったとか。そしてイシククル湖ができた。竜はその湖の美しさに見とれてしまい、固まって巨大な岩になったということです。竜の背中まで登ると、イシククル湖が望めました。(注意)急坂で滑りやすいため、トレッキング向きの靴でないと登るのは危険です。
スカズカで少しワイルドに楽しんだ後、遠望する雪山の写真を撮ったり、らくだをみかけたので止まってみたりしながら、今日の宿へと向かいました。この日の宿は昨年できた新しいゲストハウス。清潔で広くて気持ちいい。
4日目:8/14(月) コチコル⇒キレムチェ・ジャイロ
気持ちよく晴れた日。今日から乗馬開始ですが、まずは馬のいる村まで車で移動。町を出ると道は二股に分かれています。左は、ナリンやトルガルト峠を越えて、中国カシュガルへとつながる道です。天山を越えるシルクロードの1つでしょう。今回、私たちはそちらにはいかず、右へ曲がりました。
山が迫ってきて、広い墓地が見えてきたところで車は本線をはずれ、村の中へ。まもなく、一軒の民家の前で止まりました。
ここで、乗馬の足慣らしをして、昼食を摂って、午後から乗馬トレッキングの開始です。
馬方さんがお客様の乗馬経験や体力、馬の性格などを考えて馬をあてがっていきます。乗り方、手綱の持ち方、進ませ方、止め方、曲がり方を順に手本を見せてくれます。まずは順に乗って、一列になって村の中を一周します。といっても初めての人はなかなかの大冒険。それでも、馬がおとなしく賢いのでみなさん、少しずつ慣れてきました。振り返ってみれば短い距離ですが、かなり運動した気分で食事に。
さて、いよいよ出発です。最初はしっかり轍のある道を進みます、しだいに、草地の中へ。少し高台に上ると、広い草原に出ました。みんなテンションが上がってきます。途中、ちょっと急な下りもありましたが、慎重に全員、クリア。
疲れてきた当たりでトイレ休憩。この日から基本は青空トイレになります。水を飲みたがる馬、道草を食いたがる馬、のんびりした馬に、それぞれの馬に、すでにそこはかとない愛着を持ちながら馬にも慣れてきました。途中、ヤクの群れに出会いました。牧民が誘導して私たちに道をあけてくれます。ありがとう!
夕日が山に落ちるころ、宿泊予定のキャンプに到着。標高2,600m。高度順応には丁度いい。でも、半日乗馬で、足はガクガクです。ストレッチしなくては。
夕食後、暗くなるのを待って星を眺めてみました。ちょうど新月も近い時期。流れ星を探そう!星の見え方が半端でないため、どこを見て待てばいいのか首を目をきょろきょろ。あちこちで「あ、流れた」「あ、見えた」「今のは長かったねー」などの声。私はほんの小さなのが流れたのを見ただけでしたが、みなさんがたっぷり見れたようなのでよしとします。(ちょっと悔しい)
5日目:8/15(火) キレムチェ・ジャイロ⇒峠⇒ソンクル湖のキャンプ
今朝もありがたいことに、晴天!
朝、私たちの馬2頭が夜のうちに遠くまで行ってしまったらしく、馬方さんが連れ戻すまで近くをハイキングすることに。見晴らしのよさそうな丘を登ってみました。そのため少し遅れて出発。
この日はいよいよの峠越えです。キャンプを出たところから徐々に高度を上げていきます。前をゆく馬とお客様のシルエットも様になっており、振り返ればどんどん視界が広がっていく感動があり、前を見たり、後ろを見たりと忙しいこと、忙しいこと!馬たちもがんばっています。今日はしばらく水場がないので、私たちより馬が大変。「がんばれ」。
山の途中で歩いて峠を越えようとする外国人旅行者に出会いました。3,400mの峠を自力で越えるには、経験と体力が必要です。かなり疲れがたまっていたのでしょう、ちょうど中腹で休んでいるところでした。私たちの馬のペースは決して早くはありませんが、それでも馬が歩いてくれる分、私たちの体力の消耗は節約でき、しっかり呼吸を確保できます。それだけでもこの馬旅は価値ありと言えるでしょう。(お尻の痛みに慣れてしまえば・・・)
ついに峠に到着です!『シルクロード・キャラバンの追体験』というのは言い過ぎかもしれませんが、この風景とこの感動を味わった方には納得していただけると思います。む、む、向こうに見えるのは、ソンクル湖?見えました、濃紺の湖が!目的地が見えてくれば、気持ちも弾みます。
あとはなだらかな下りだけ。しばらく行くと、きらきらと太陽に反射する小川が流れていて、その向こうに今夜私たちが泊まるユルタキャンプが見えてきました。小川に着くやいなや、馬はごくごくと水を飲み始めます。さもありなん。朝からずーっと飲んでいないのだから。たっぷり飲めよ、と促しながらも、しかし、飲み続けて、いっこうに顔を上げようとしない愛馬に、さすがに、うんざり(笑)。
遅めの昼食をとって、少し休んだのち、ソンクル湖まで行くことにしました。ちょっと疲れた方は車で、歩くのが好きとおっしゃるお客様は徒歩で、ほかのみんなは馬で出かけます。近くには遊牧民が夏のユルタを張って、牛、馬、羊を放牧しています。そんな光景を眺めながら湖へ。誰がということもなく、水切り大会が始まりました。これは世界共通の競技だったと知りました。何年後かのオリンピック競技に当確するかも!
おっと、ここは標高3,000m、激しいい運動は体を慣らしてからでした。注意、注意。
6日目:8/16(水) ソンクル湖
今日もいい天気です。神様ありがとう!
キャンプはソンクル湖からちょっと離れていて、湖が見えません。そこで、朝、キャンプの裏山に登ってソンクル湖を見下ろすことに。もう馬の扱いもみなさん慣れたものでひょいひょいと登っていきます。見晴らしのいいところで「騎馬隊整列」の記念撮影(ちょっと逆光ですみません)後、下山。
昼食後、お世話になった馬方さんは、ここでお別れです。私たちが乗ってきた馬も全部まとめて、最初の村まで連れて帰るのだとか、到着は夜になるだろうと。あの峠を越えて1泊2日かけてきた道を、2人で10頭以上の馬を引き連れて戻っていくのだ。大変そうだが、なかなか壮観!馬さん、馬方さん、お世話になりました。ありがとう!
午後時間ができたので、近くの遊牧民のユルタ訪問してみました。馬の乳しぼりを見せてくれるとのこと。私たちもできますか?と聞いたら、「さすがに馬は危険だから、やらせられない」とのことでした。若いご夫婦で小さな、2、3歳の子供が、かわいらしく和ましてくれました。
7日目:8/17(木) ソンクル湖⇒ビシュケク
ソンクル湖にお別れの日。今日もいい天気に恵まれてとてもラッキーでした。
キャンプを出た車は一度ソンクル湖湖岸まで行って、その北岸を沿うように走る。いくつかのキャンプを見かけるが設備は私たちが宿泊したところにかなうところは今のところなさそうに思えた。ソンクル湖をいよいよ離れ、高度を上げていく。3,400mの峠に到着。ここからの展望もすばらしい!シルクロードの山越えの道はこのようであったと思わせてくれる。
その後も車窓からヤクの群れを目で追ったり、遠くの稜線を見つめたりしているうちに高度を下げチュイ川のほとりまで降りてきました。午後は、中世、中央アジアを支配したトルコ系初のイスラム王朝「カラハン朝」の都に比定されている地に建つブラナの塔を見学に。かわいい石人たちもいっぱい立っていて、ほっこりできる場所。
ここから今夜の宿泊地ビシュケクまでは90km。3日ぶりに低地の都会。ビールも飲めるし、熱いシャワーも存分に浴びれる!電気もしっかり使える。山の楽しさももちろんいいが、文明のありがたさも実感。
8日目:8/18(金) ビシュケク⇒アルマトイ⇒
キルギス最後の日、朝からスーパーマーケット、バザールへ。お土産の買い出しに。ワイン、ビール、チョコ、調味料、ドライフルーツ、チーズ?・・・。みなさん、心に秘めたものがいくつかある様子。欲しかったものは買えましたか?
名残惜しいですが、楽しかったキルギスもお別れです。隣国のカザフスタンのアルマトイから飛行機に乗るので、昼食後にカザフスタンに向けて出発しなければなりません。山と木々の国キルギスから平原の国カザフスタンに戻ってきました。夜の便で出発して、翌朝には日本に到着の予定です。
9日目:8/19(土) ⇒ソウル⇒日本
ただいま、帰りました。お疲れさまでした。ぜひまたいらしてください。