年末年始の青蔵鉄道で行く 冬のラサ7日間ツアー、添乗研修を終え帰国しました。参加者全員事故やケガもなく、心配していた高山病の症状も全くあらわれず無事にツアーを終えることが出来ました。
先輩添乗員・中村のお手伝いとして同行した初・チベット、初・添乗業務でした。ツアーの目玉である青蔵鉄道に乗れたことはもちろん印象深い体験でしたが、特に年末年始にラサで過ごした3日間は風の旅行社のオリジナリティが満載の非常に濃い内容となっており、様々な気づきや発見があったので、今回はそのことをご紹介したいと思います!
「風」ならではのツアー内容
➀ 巡礼者と共に五体投地をしたサンゲドゥング
12/31、青蔵鉄道に乗り、前日無事ラサ入りした私たち。この日はガイドのサクラさんに案内され、午前中にサンゲドゥングへ行きました。ラサの中心地を囲む巡礼路「リンコル」の一部を歩いて向かったのですが、なんと民族服姿で片手にマニ車を回す地元の巡礼者たちと一緒に歩きました!
サンゲドゥングは「千の仏」という意味を持ちます。その名の通り、岩には数多くの仏像=磨崖仏が彫られています。
チベットでは死者を弔うためにタンカや仏像を購入して死者を弔います。11世紀頃、それらを購入するお金がない人の祈りの場として、とあるお金持ちがこの地にサンゲドゥングをつくったそうです。ここは観光地としてはメジャーではないそうで、ツアー客や外国人は私たちしかいせんでした。最初にマニ=真言が書かれた板を積み上げて作られた巨大なマニ塚を見学しました。マニ塚の前では五体投地をする地元の巡礼者がたくさんいました。
頭上、口元、胸元で手を合わせた後、全身(=五体)を地面につけて祈るこの五体投地は身(行動)・口(言葉)・意(心)すべてを以って仏に帰依するという意味が込められています。これまで『ラサへの歩き方 〜祈りの2400km』(公式サイト)という映画でしか五体投地を見たことがなかった私ですが、実際に見たときは「こんなに身近に行われているのか!」と衝撃でした。中には映画で描かれているように、遠い田舎から何ヶ月あるいは年単位でラサまで五体投地で行く巡礼者もいるというから驚きです。
このマニ塚からサンゲドゥングに行く途中、石段の段差上で五体投地をする巡礼者を見ました。「珍しい形式だな。なんでこんな場所でやっているんだろう?」と疑問に思いました。
サンゲドゥングでも多くの地元のチベット人巡礼者が五体投地をしていました。そしてなんと、今度は私たちも巡礼者に紛れて五体投地をしました!! 巡礼者は慣れた様子でスッスッとやってのけるのですが、いざやってみるとこれが中々難しく、地面に伏せた後体を引いて起こす時にコツが必要なのです。ここで先ほど石段で行われていた五体投地の光景を思い出しました。あれは楽に五体投地をするための裏技だったのです。
➁ 美味しいバター茶を飲んだ民家訪問
サンゲドゥングを見学後、この日の夜にはなんとラサ市内にある民家に訪問して、年越し行事を楽しみました! ここでは現地旅行社の責任者・潘さんが加わりました。バター茶やお菓子、お漬物やグトゥ(チベットの団子スープ)といった料理が出され、チベット庶民の食卓の雰囲気を体験しました。
私、バター茶はインドでも飲んだことがあるのですが、正直その感想はというと、「……ウ~ン」でした。チベットの人が何故これをゴクゴク飲めるのかと疑問でした。しかし、ここで飲んだバター茶は天下一品です! これは一体どういうことなんだ? 中村さんによると、「乾燥していたり疲れている時、体が塩分や油分を欲している状態の時にバター茶を飲むと格別に美味しい」ということです。本当にその通りで、乾燥しているラサで飲むバター茶は非常に美味しく飲めました。インドでは1杯飲みきるのがやっとだったのに、ここでは何杯もおかわりをしてしまいました。
ところで「グトゥ」という団子スープ、一番大きい団子の中には新年の運勢を占うチベット語のおみくじが入っているのです。潘さんがお客様のおみくじを順番づつ広げて日本語に翻訳してくれ、年越しを大いに盛り上げてくださいました。
最後に日本から持ってきたインスタントお雑煮を食べ、チベット式の厄祓いでしめました。
➂ チベットで見た初日の出
民家での年越し行事を終え、新年を迎えた1/1。この日の朝、特別にタンカホテルの屋上を開放してもらい、お客様と一緒に屋上から「初日の出」を見ました!! 朝日に照らされるポタラ宮を眺めながら、私たちは日本よりも1時間遅い新年を迎えました。
➃ チベット人の生きる力を感じたヤムドク湖湖畔
1/2。この日はラサ最終日です。楽しかったラサも今日で最後となります。帰る途中にラサから離れたヤムドク湖までバスで行き、湖畔を散策しました。チベット語で「トルコ石の湖」の意味をもつこの湖は海抜4441mの位置にあります。
湖畔に近づくと驚きの発見がありました! なんと湖の向こう岸に小さな集落があるのです!! 繰り返しになりますが、ここは海抜4441mの湖畔沿いです。一体村人はどうやって生活しているのでしょうか?添乗員の中村さんによると、村人は半農半牧の生活をしているとのことでした。どうやらこの辺りではヤクや羊の放牧が行われ、大麦や小麦、ジャガイモなどが栽培されるそうです。ラサの喧騒から離れ、こんな場所にも生活する人々がいることに、チベット人の生きていく力強さを感じました。
しかし疑問は尽きません。村にはライフラインは通っているのか? 住人はスマートフォンを持っているのか? 交通はどうしているのか? 日本のことは知っているのか? ラサまで五体投地をして行ったことがあるのか? etc・・・・・最終日というのに、チベットへの探求心は高まる一方なのでした。
お世話になったガイドさんたち
以上、様々なことをご紹介しましたが、これらはツアーのほんのごく一部です。まだまだ紹介しきれないものがある、盛りだくさんのツアー内容でした。
「ここまで盛りだくさんのツアー、なぜこれほどの短期間で体験できたのだろう?」そんなことを思い浮かべながら、ラサ最終日、空港近くの食堂で春雨スープとロージャーモーを食べていたところ、私の隣では潘さんとサクラさんも一緒にご飯を食べていました。一人、見覚えのある方もそこに同席していました。バスの運転手の李さんです!
この時フと気づきました。「ここまで充実したツアーをスムーズに遂行できたのも、潘さんやサクラさんなど日本語堪能な現地ガイド、責任者をはじめバスの運転手など、様々な人の支えがあってこそだったんだ。ツアーとは互いの深い信頼関係を基盤とした強い連帯によって成り立っているんだ」ということです。ラサに行く前、西寧ではノルツォさんというガイドにお世話になりました。ラサを発った後、成都での乗り継ぎの際には張さんというガイドにお世話になりました。
この気持ちを胸に刻み、ラサでの最後のご飯を楽しみました。
まとめ
今回のツアーはサンゲドゥングや民家にてチベットのローカルな信仰や生活を豊かに堪能できた充実したツアーとなりました。そのどれもが素晴らしく、チベット文化について、ツアーの仕組みについて、様々な気づきと発見がありました。
メジャーではないが見ごたえ抜群のサンゲドゥング、ここでは五体投地を実践することでその感覚を得られました。家庭の雰囲気を楽しめる民家訪問、ここでは体が欲している中バター茶を飲むことでその美味しさを感じました。また、ホテル屋上に行くことで初日の出に照らされるポタラ宮を見れ、ヤムドク湖湖畔に行くことで湖畔沿いに暮らす人々がいることが知れました。
これらは現場や実践でしか得られないコアな体験を重視する「風の旅行社」ならではのツアー内容なのです。現地のガイドさんにも様々な面でお世話になり、非常に学びが多い添乗研修となりました。何よりもお客様に大満足いただけたことが本当に良かったです。初めての添乗業務で至らぬ点が多々あったと思いますが、今回学んだことを忘れずに、今後の添乗業務や日々の仕事でも活かしていきたいと考えています。
帰国後まもなく大地震の知らせが入りました。被害にあわれた方々へ心からのお見舞いを申し上げるとともに、いち早い復興を願っております。
同じツアーに同行したスタッフ中村の添乗報告記はこちら
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