山を愛する人ならば、一度は憧れるネパールトレッキング。でも最近は山の経験がない方のご参加も増えてきました。
ヒマラヤというと数千メートルの高所というイメージがありますが、ネパールには初心者でも簡単に行けるトレッキングポイントが沢山あります。あの8,000m峰を仰ぎたいネパールビギナーのために、気軽に行けるネパールトレッキングをご紹介します。
ネパールのトレッキングって?
トレッキングとは、簡単に言えば「山歩き」。頂上を目指すのではなく、特にネパールでは移ろいゆく自然の醍醐味を満喫しながら、素朴な山村を歩く事を言いますので、「村歩き」と言っても過言では無いでしょう。日本の山道は山歩きの人しか通りませんが、ネパールは村の生活道を歩くので、様々な出会いも体験できます。
初心者のためのネパール・トレッキング
ヒマラヤの7,000m~8,000mの峰々を見上げるなんて言うととんでもない高所を連想しがちですが、今回は高山病の心配もなく、気軽にトレッキングに挑戦できるアンナプルナ方面をご紹介しましょう。
まずはポカラへ
トレッキングの起点になるポカラは、首都カトマンズから国内線で約30分、バナナのなる標高約800mにある亜熱帯の街。ヒマラヤの見えるリゾート地として有名で、豪華なリゾートホテルから、1泊数百円のゲストハウスまでがずらりと軒をならべています。
そんなポカラからでも、雄大で豪快なアンナプルナ連峰までが直線距離でたった約20km。横着に縮小して、目の前20cmのところに8cmの物を置いてみると、その「仰角」の凄さがわかります。
いちばん近い尾根の村 ダンプスへハイキング
全くの山歩き初心者やご家族連れなどにお薦めしたいのが、歩いてたった2時間で行けるトレッキング街道の入り口の村ダンプス。確かにここからトレッカー達は奥へ奥へと入るのですが、山村の素朴な生活と豊かな自然の風景、そしてヒマラヤの雄大な風景に浸るには十分満喫できるところです。
ポカラから田園風景を車で約1時間半の「カーレ」で車を降りて、いよいよハイキング開始。ネパールでは2~3,000mの山は「丘」と呼ばれますので、私たちは丘の上を目指すわけですが、ダンプスは標高約1,800m。ネパールでは丘にも届かぬ高さです。でも、その眺望の良さはピカイチ。遥か眼下のセティ河のくねりのみならず、見上げれば霊峰マチャプチャレ(6,993m)が正面に。その左右をアンナプルナ連峰、遠くにマナスル三山までも見渡せるパノラマが広がります。
そして、この尾根の村ダンプスには、風の直営ロッジ「つきのいえ」があります。“露天”五右衛門風呂と自慢のネパール家庭料理が山歩きで疲れた体をやさしく癒してくれます。
もう少し歩きたい方は グルン族の大きな村 ガンドルンへ
山村の生活にもう少しなじんで、2~3泊ぐらいのトレッキングを楽しみたい方は、ガンドルン(標高1,951m)まで行きましょう。車でナヤプルからアンナプルナ内院を水源とするモディ河沿いを北上します。最初は「丘」に遮られていた向こう側が開けて見えたら、疲れも吹っ飛ぶほど大きな角度でアンナプルナ南峰、魚の尻尾の様な形の頂上を見せるマチャプチャレが顔を出します。
そしてグルン族最大の村ガンドルン(*)へ到着。ここは比較的設備の整ったロッジ(山小屋)に泊ることができます。もし時間があれば是非ここに2泊して下さい。長い間外国人を迎えてきたやさしさが、村いっぱいに溢れているのが見えてきます。
*2019年現在、ガンドルンまでジープでアクセスできます
ちょっと本格的に ゴレパニトレック
アンナプルナ連峰、そして男性的な雄姿を見せるダウラギリ峰などが、大パノラマで見える展望台プーンヒル(標高3,198m)を目指すゴレパニ山村トレックは、初心者でも歩くのが好きな方なら是非とも訪れていただきたいルートです。
ポカラからは、車でナヤプル(*)まで入り、そこからトレッキング開始。ウレリなどの小さな村を訪れて、翌日にはゴレパニ村(標高2,853m)まで登ります。そして翌朝早く、暗い道を小1時間ほど登り、プーンヒルで日の出を待ちます。およそ180度の角度で、暁の中から紅に染まるヒマラヤの峰々が現れる姿は神々しいばかり。
ゴレパニからの帰路、アンナプルナ山群をずっと左側に眺めながら、棚田の続く道をガンドルン、ランドルンといくつかの村を歩いて行きます。最後にダンプスまでぐるっと回れば5~6日間のトレッキング。村の生活と静かな世界にどっぷり浸かれます。
*2019年現在、もっと先のウレリまでジープでアクセス可能です
楽しい仲間達が同行します 風のトレッキング
トレッキングビギナーにとっては、山以上に同行するパートナーが気になるところ。そこで風の旅行社のトレッキングツアーの内容をちょっとだけお伝えしましょう。
まず各コースとも、日本語が上手なトレッキング専門ガイドがカトマンズから同行します。また、トレッキング中は、皆さんのお荷物を持つポーター達も参加しますので、ご自身で持つものはタオル、カメラなど最小限だけ。だから足元ばかり見ないで、十分山の景色を堪能することができます。
そしてロッジに泊まりますので、世界中のトレッカー達や宿のおじちゃんなどとの語らいも、楽しいものとなります。宿泊地で利用する寝袋やインナーシーツなども弊社でご用意しますので、日本から重い思いをしなくて済みます。人数が多くなるとサブガイド、コックなどの楽しいスタッフ達がも加わり、夜は歌に踊りに楽しい宴会が繰り広げられる事でしょう。
また、3,500mを超える高所トレッキングでは、パルスオキシメーターやガモウバッグ(緊急加圧バッグ)、そして高所体調管理表等も登場し、高山病に関しては高い知識と現地での順応行動を含めてスタッフが万全の体制で臨みます。1人でも大グループでも、ビギナーから高所トレッカーまでも対象とした柔軟に対応できる力を持っている、それが風の旅行社のネパールトレッキングの強みです。
※風・通信No.7 (2001年8月発行)より抜粋、加筆訂正。