世界遺産に代表されるいわゆる観光名所は、その国や地域のほんの一部でしかありません。広く知られる観光名所が良くないというわけではありませんが、それにもまして魅力に溢れる「光をあてたい」場所や物事がたくさんあるということです。そんな「あの場所、この場所」をご紹介します。初めてでも、2度目、3度目の国でも、訪れればきっと確かな光を感じることができるでしょう。
文●田中真紀子(東京本社)
伝統的な石造りの家々が並ぶ
トルコの南西、エーゲ海沿いにあるオリーブの村、アダテペ村。この村の何がすごいって、正真正銘の隠れ里=幹線道路から一切見えない場所にあるのです! 「小さなてっぺん」の名前のとおり、アダテペ村はギリシャ神話にも登場するイダ山の裾野の小高い丘にあります。村への道も特に標識もないため、知っている人でなければ訪れない場所といっても過言ではありません。驚くべきは、村近くにエーゲ海と海岸沿いが一望できるゼウス祭壇あり、戦時に村人はここを見張り台として海・陸からやってくる外敵を事前に察知し備えることができたこと。つまり村からは外界の様子が伺える、でも下から村は見えない。まるで隠れ蓑のように、自然に守られたアダテペ村は、現在、景観保護地区に指定されており、石造りの伝統家屋が建ち並んでいます。
オリーブ畑で休憩中
ゼウス祭壇からエフェソス方面を望む
そんなアダテペ村と風の出会いは、風の旅行社の創設者・比田井博(故)に遡ります。比田井が、風の取締役の他に、経営していた(株)ナイアードで扱う製品を探している際、アダテペ・オリーブ・ミュージアムにコンタクトを取ったのがきっかけ。そのミュージアムを創設・運営していたのが、「風のトルコ」現地提携先・社長のハルクさんだったのです。そこから数年経ち、2013年の今、「比田井さんとハルクさんの出会い」がなければ、風の旅行社がトルコ・ツアーを始めることはまずなかったでしょう。
そんな良いご縁で繋がったアダテペ村に宿泊できる外国人旅行者は、ハルクさんの会社を通した場合に限られます。つまり日本では風の旅行社のお客様だけです。
長閑な雰囲気の村周辺ハイキングや、夏はエーゲ海で釣り、冬はオリーブ収穫のお手伝い、など様々なアクティビティもできます。そして空気もご飯も美味しい! アダテペ村は一度足を踏み入れたら「もっといたい、帰りたくない!」と思ってしまう場所です。
▶ 日本発着の日数目安:9日間
▶ ベストシーズン:春、秋
「風通信」47号(2013年4月発行)より転載