添乗ツアー名 ●大迫力の南壁へ! アンナプルナBCトレッキング9日間
2023年12月29日(金)~2024年1月6日(土)
文・写真 ● 川上哲朗(東京本社)
“氷河からバナナまで”とは、参加者がつけてくれたツアーのキャッチコピー。「ヒマラヤの氷河はわかるけど…バナナ?」と思った方も多いのではないでしょうか。
終着点であるアンナプルナBC(ABC)から山麓エリアまで、トレッキング中に見られた景観を標高の高い方から順に紹介していきたいと思います。
トイレも凍る寒さ アンナプルナBC(4,130m)
ABCは別名アンナプルナ内院とも呼ばれ、名だたるヒマラヤジャイアンツに囲まれる別天地です。この時期、朝焼けは6:50くらいからスタートします。アンナプルナⅠ峰のモルゲンロートはまさに息を呑む大迫力。
年末年始は乾季のど真ん中ということもあり、晴天率はかなり高いシーズン。ただし、大変寒い時期であるのも事実で、夜間の気温は-16℃ほどとトイレの水も凍る寒さです。
メリットに感じたのは「空いている」ということ。秋や春のピークシーズンには各国からのトレッカーで混雑し、ロッジの部屋も日本の山小屋よろしく雑魚寝状態になることが多いABCトレッキングですが、今回のツアー中に雑魚寝を強いられることはただ一度たりともありませんでした。
◯◯Payが利用可能!? ヒマラヤ(2,920m)
荒涼としたABCからマチャプチャレBC、デウラリと順調に下山を続けていき、ちょうど背の高い植物が増えてきた辺りに位置するのが、その名も「ヒマラヤ」という集落。
ここにあるロッジのウリは、美味しいコーヒーを飲めるということ。近年、世界的にも人気が出てきているというネパール産のコーヒーをその場でエスプレッソやカプチーノにしていただけます。
驚くべきはエスプレッソマシンがあることではありません。なんと、こんな山奥にも関わらずクレジットカードが利用できるのです。しかもJCBもApple payもOK!
最近はほぼ全てのロッジに高速Wi-Fiが整備されているため、このような近代的なシステムもどんどん山を登るようになっています。
シャクナゲの森や竹林の景観 バンブー(2,310m)
ヒマラヤの集落からしばらく下ると、正面に滝を望むPujinim Barah Templeというヒンドゥ寺院が現れます。ここから上部は「聖域」として崇められているため、肉食が禁じられているほか、ロバや馬などの家畜も立ち入ることはできません。
一方、ここより標高の低い場所は“人間臭さ”が色濃く感じられるエリア。モディコーラという川沿いに、いくつかの集落が点在しています。
「バンブー」は、その名の通り竹林や広葉樹の樹林帯に囲まれている宿泊地。春には国花ラリグラス(シャクナゲ)や着生ランの開花が楽しめることでしょう。
バナナやブーゲンビリアが繁る チョムロン(2,170m)
さて、冒頭のバナナです。「ヒマラヤ=寒い!」というイメージは間違いではありませんが、一方でネパールは緯度が奄美大島と同程度の温暖な国。
ABCトレイルでも、標高の低い場所ではマリーゴールドやサルビア、ゼラニウム、ブーゲンビリアなど色とりどりのお花が民家の軒先を彩ります。
チョムロンという村ではバナナも採れるそうで、今回のトレッキング中にも食後のデザートとして美味しくいただきました。日本でよく見かける品種より少々淡白で、食感も“ねっとり”というより“ほっくり”といった感じ。さつまいもで例えるならば、安納芋に対する紅あずまのようなイメージでしょうか。
ヒマラヤ展望ばかりに注目を集めがちなネパールトレッキングですが、標高によって異なる生活文化や植生の違いを観察できることも魅力。
安全な場所で「よそ見」「わき見」を交えつつ、“氷河からバナナまで”幅広い魅力を味わってもらいたいと思います。
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